ゆうすけ

いつかの君にもわかることのゆうすけのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
4.0
ずっと心がぎゅっと握りしめられていた。いち早くその手を緩めて欲しいと願いつつも、緩めた瞬間に、次は2人の距離感が掴めなくなる、この歯がゆさは今までにないかもしれない。
油絵のようなオープニングから、この作品が単色でもひと塗りでもない、複雑な色と何度も重ねた絵画のようだと感じた。
美術館の入口に分かりやすく、テーマが掲げられているようだ。
ガラスはとても美しい。その美しさが故に、汚れも目立ってしまう。物事の美しさや素晴らしさの影には、その品質を保つために、誰かが磨いている。
ガラスがこの子の心そのものであれば、父がいなければ、輝くことも人も映し出すこともない。
でも、父は最後の最後まで、子のガラスを掃除し続けた。だからこそ、子の心は輝き、その美しさに、大人を魅了していく。ガラスのような子供の心を、父は、そして親は黙って磨き続け、そのガラスに素敵な相手が映り込むことを願うしかない。
作品では、雨の描写がまさに、子の葛藤も重ねていた。
でも、雨の日にガラスを磨くことは無い。磨いても意味が無いからだ。
つまり、雨のような心の時は、無理に磨く必要が無い。
そっとじっと見守ることが大切。
親とは窓掃除の職人にならないといけないのかもしれない。
いや、もう既に職人なのかもしれない。あとは、環境という道具次第であろうか。
ゆうすけ

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