要

きまじめ楽隊のぼんやり戦争の要のレビュー・感想・評価

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「ちょっとへんてこな架空の町の戦争」という非日常に、却って日常を反省させられるふしぎな作品。この町のネジ巻き人形みたいな人々は、思考停止な毎日を生きる私たちに似ている。

正面構図、セリフと動きに独自の規則を持たせる演出は演劇的。だんだんそれが心地よくなってくる。一見ゆるいがシニカルな表現と個性的な俳優陣。客席に静かな笑い。

私たちが生きてる上で直面する理不尽や、見えないふりしてることに代替可能なあれやこれ。(生まれた時からそうだから疑問など抱かない。明日は我が身でも他人の不幸を無感動に眺める。親の期待を背負って「川上」を目指す。権力の世襲。障害者と石女は無用。町を出ることもできるのに、きっかけがないから留まっている……)

露木が配属される楽隊は普段は役立たず扱いで狭い地下に追いやられているが、新兵器お披露目の際には行進の要を務める。非常時には音楽をはじめとする文化・芸術は軽視されるけど、その一方でプロパガンダ等に利用されてしまうという恐ろしさだね。

セイイチとミトの関係が…なんか深掘りしたくなる感じで良い!エンドロールのアニメーション切なかわいい。

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川を挟んできっちり9時-17時で戦争をしている二つの町。真面目な兵隊・露木は定時にスーツで出勤しお昼は気まぐれな定食屋、夕方には物知りな煮物屋に寄って帰る規則的な生活を送っている。ある日、楽隊への異動を命じられた露木は対岸からもトランペットの音が聞こえてくるのに気づき、その音色に心惹かれていく。一方、強力な新兵器の導入で、彼の町は勝利の期待に湧いていた・・・
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