こういうイケてない系の高校生映画って大好き。
主人公のハダシは、時代劇好きで勝新太郎の大ファン。
当然ながら、同級生たちとは馴染めず、浮いた存在になってしまっている。
所属する映画部でも、部員たちはキラキラした恋愛青春映画を撮るのに夢中になっていて、ハダシのほうを見向きもしない。
ハダシといつも一緒にいるのは、SFオタクのビート板と、剣道女子のブルーハワイ。
この二人もやっぱりあんまりパッとしなくて、そこがまたいい関係性になっている。
そんななか、一人の謎の青年を見つけたことで、時代劇映画の撮影が始まる。
ここからの展開がとても熱い。
集められたスタッフもみんなパッとしないんだけど、それぞれの長所を生かして映画の撮影に臨んでいく。
最初は適当な気持ちで参加していた誰もが、どんどんと映画に本気になっていく。
全員が素人だから、はじめは失敗続きでなかなか上手くいかない。それでも熱くなった彼らは止まらない。
彼ら全員がキラキラというよりも、ギラギラと輝きだし、どんどん魅力的に見えてくる。
そして、いつの間にかちゃんとハダシ組になっているのが、心底心地いい。
人物の描き方もとても丁寧だ。
全員にスポットが当たり、ちゃんとそれぞれに物語がある。
だからこそ、自然と感情移入できるし、些細なコミカルシーンもぐんとおかしく感じられる。
すごいと思ったのは、敵対しているかのように描かれていた「キラキラ青春恋愛映画」の側の物語もしっかり描かれるところだ。
どんなキラキラ映画だって、撮ってる人間は真剣だ。
映画が好きだから撮っている。それが見えてくるから、余計に熱さが高まってくる。
楽しくて、熱くて、ちょっと爽やかで、謎も笑いも恋愛もあって、せつなくて、じーんともくる。
そして、その中心には、映画作りの楽しさがどんと腰を据えている。
素敵な青春映画だと思った。
