みかんぼうや

サマーフィルムにのってのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
3.9
キラキラ系恋愛映画が苦手で時代劇が大好きな映画部の女子高生が自主制作時代劇を作るお話。

本来、この手の青臭いお茶目演出系青春コメディ映画は得意ではないし途中で発覚するなかなかの“とんでも設定”は苦手な類で作品から引いてしまいがちなのですが、松本監督自身が今まさに監督として映画を創っていることの楽しさや喜び、そして将来の映画産業や映像産業に対する憂いなど、映画に対する情熱が思いっきり代弁されているかのような物語で、その思いがストレートに胸に突き刺さり、気づけば思わず涙を流していた(個人的に「映画大好きポンポさん」以上に映画愛を感じた)。

なんと言っても、好きなもの、愛するものがあって、それを信じてただがむしゃらに前に突き進む、というシンプルさが素敵。そして、アンチキラキラ系恋愛映画と見せかけて、実は本作そのものがキラキラ系恋愛映画でもあり、それをしっかりリスペクトした内容になっているところにも、監督の映画愛を感じる。

登場人物が全て善人なところに、沖田修一監督的な優しさも感じ、きっと松本監督も素敵な人柄なのだろうな、と勝手に想像してしまった。この超爽やか系作品の後、どんな次回作を出してくるのかがとても興味深い。
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