たけき夏アニメーション

激怒のたけき夏アニメーションのレビュー・感想・評価

激怒(2022年製作の映画)
1.2
人格も作品評も大好きで、価値観を心の底から信頼している人が作った作品がことごとくダメだった時は本当に辛い…。

ひと昔前の園子温、西村喜廣、小林勇樹作品を見ている時のような、ズレた過激さと見当違いの体制批判。

自分の主張に「とは言っても…」とか「かく言う自分も…」といった揺らぎがなく、結論ありきで話が進むため、最後に激怒が爆発したところで何の面白さもない。

そう、これはまるで、ゴールデン街にいるオッサン向けに作られた『水戸黄門』だ。

本当の意味でこの国や世界全体に対して怒りが広がっていかないから、「富士見町」というディストピア・ワンダーランドと、「海外」としての機能しかない「ニューヨーク精神病院」でしか話が進められない。

入江悠の『ビジランテ』『シュシュシュの娘』を思い出してほしい。
閉鎖的な町の腐敗からこの国全体の異常さをあぶり出して、ラストではその怒りがちゃんと日本全体へと拡散していくような演出がされていた。(『シュシュシュの娘』では3段ズームアウト)

「どうせこの国全部が狂ってるんだよ!」の一言で済ませてはいけない。
カタルシスとはこういう事ではい。


0.2point分は、笹野鈴々音さんとしじみさんが好きな役者さんだからです。