激怒の元気三倍ですのネタバレレビュー・内容・結末

最後、ヒロインが自らも暴力で桃山を倒しておきながら屋上で深間を笑顔で見るでなく、さめた目で見ているような演出から、彼女にとっての深間は何処か桃山と似たものなのかも知れないと感じました。他にも自分の母親と殺してしまった引きこもりのこむろの母親が同じ認知症である事、牢獄という絶望の中でそして最後の解放の中で出会う青い鳥、深間と桃山の暴力による同一性は観るものの想像力を刺激する。観るものに映画を信託する演出を単純な物語に見せかけて数多く練り込んでおり、鑑賞後の今もあれこれと考えさせられる。自信はないが、何となく自分なりの答えがある、いつか監督と話したい。作家性を娯楽映画に反映させるのは大変勇気が必要と思われるが、観る力を信じた結果素晴らしい映画になったと思います。音楽は近年の邦画で間違いなく一番でしょう。二人のミュージシャンを起用するのはかなりリスクがあったと思いますが起用した音楽家を厚く信頼した結果が極上の映画音楽を生んだと言えるのではないでしょうか。