勝ったのは農民だ

激怒の勝ったのは農民だのネタバレレビュー・内容・結末

激怒(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

【安っぽさやスケール感の小ささは気になりましたが、それ以上にテーマは考えさせられました。】

※今回もかなりネタバレします。
未見の方は読まないことをオススメします。🙇🏻‍♂️

映画ライター&アートディレクター:高橋ヨシキさんの長編映画監督第一作です。

高橋ヨシキさんに関しては、

「アフターシックス・ジャンクション」(通称:アトロク)でライムスター宇多丸さんの「ムービーウォッチメン」を聴いていたり、
最近ではYouTubeの「BLACK HOLE」🕳️もたまに観ているので、今作も気になってました。


ただ、最初に今作の予告編を観た時、
「自分がこの作品にハマるか❓」はイチかバチかだと思ったんです。

なんせ、
警察署長(演:小林竜樹さん)の制服の感じとか、
町内会長の桃山(演:森羅万象さん)が両脇に女性を侍らせている感じとか、
すごく安っぽく悪趣味に感じたからです。😥

で、実際に本編を観てもその安っぽさは感じました。というより、本当に低予算で撮られたんだと思います。💸
その低予算だからか知りませんが、特にスケールの小ささも感じました。

「犯罪ゼロの町。安心・安全・富士見町。」

って謳い文句の場所:富士見町が舞台になっているのに、
迫害される側のあの女性(演:彩木あやさん)が
「この国じゃどこに行っても一緒だよ。」🗾
みたいなことを言って他の県に行けないのも不思議でした。

そんな感じでどうしても全編通して低予算感・スケールの小ささは気になったんですが、

ただ、この作品のテーマとかメッセージは考えさせられました。
個人的に“好き“というよりは“嫌いにはなれない映画“です。

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【川瀬陽太さんと奥野瑛太さんがいいです。】

俳優さんとしては、

まず、主演の川瀬陽太さんがいいですね。
顔的にも演技的にも暴力警官がハマり役でした。😅

まず、序盤のバーの感じが好きです。
ビール🍺が飲みたくなりますね。
でも、グラス一杯飲み干したらわんこそばみたいにすぐおかわりが来るのが深間さんの常連ぶりが伺えます。
もっとも自分なら最初からジョッキを頼みますけど…。😅

最近じゃ自転車🚲でさえ乗る時のヘルメット装着が努力義務になったのに、
ましてや警察官がノーヘルでバイク🏍️に乗って帰って来たのに奥野瑛太さんが何にも文句を言わないのも疑問でした。

ただ深間さんはかなり序盤から飲酒運転してますからノーヘルなんてションベン刑以下でしょうけどね。😅

深間さんが認知症の母親の介護をしてるのが意外だったんですが、あの母親って最初から深間さんの幻想だったんですね…。
彼にも親孝行な一面があると思ったので、少し残念でした。⤵️



それから奥野瑛太さんもいいですね。😄

アメリカから帰ってきて浦島太郎になっていた深間さんに現在の状況を説明する立場なんですが、

やっぱり自分は彼が出演しているだけで、少し前のめりで観てしまいます。彼は最後まで生きていたのはよかったです。😅

『岬の兄妹』の松浦祐也さんも序盤の引きこもりがすごく似合ってました。

あと、

「町内会の隊のリーダーの人(桃山じゃない)、でかいなぁ」って思ったら、
『キングダム(一作目)』にも出ていた阿見201さんでした。

あんな巨漢がいるから富士見町町内会の自警団行為が成り立つのであって、どこの町内会でも出来るわけじゃありません。

っていうか、あの人は普段の仕事は何なのか❓もすごく気になりました…。😅

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【オープニングとそこからの信号待ちのくだりが好きです。】

今作『激怒』は暴力警官の話なので、
自分は単純に北野武監督第一作『その男、凶暴につき』を連想しましたが、
聞くところによるとその『その男、凶暴につき』もウィリアム・フリードキンの『L.A.大捜査線』(未見ですけど)から影響を受けているそうですね。
高橋ヨシキさんはその『L.A.大捜査線』から影響を受けたのかもしれません。


で、映画の演出としては、

アトロクでも言ってましたけど、オープニングシークエンスがなんともいえずカッコいいですね。🆒
“この映画がどういう映画か❓“がしっかり示されていますし、センスを感じました。

それから冒頭の信号待ちのくだりも面白いです。🚥

“車は来ないけど赤信号(ルール)は守ろうとする町の人たち“
と、
“そんな人が目の前にいても平気で赤信号を渡る主人公:深間“
の対比。あれ一発で説明台詞抜きに主人公とその街の人たちの性格が分かります。


“社会のルールがどれだけ大事なのか❓“
というか、
“世間の目👀をどれだけ気にするか❓“

ですね。

それこそ『その男、凶暴につき』の監督であるたけしさんも
「赤信号🔴。みんなで渡れば怖くない。🚶」って言ってましたけどね…。😅


そして、全編通して音楽のセンスがいいです。
何にも起きない長回しのシーンが結構多いんですけど、音楽のせいかずーっと不穏な空気を感じました。

ラストの「THE END」のフォントも洒落ていました。

😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡😡

【ルール違反者や問題がある人たちをどこまで社会が許容するか❓】

で、テーマとして。

自分はテーマの受け取り方が少しずれてるのかもしれませんが

要は、“ルール違反者や問題がある人たちをどこまで社会が許容するか❓“って話だと捉えました。
そして自分もその問題は日常生活でよく感じます。


スピルバーグ監督の『マイノリティ・リポート』とかもそうですけど、
“犯罪ゼロの町“って本当に実現したら、逆にすごく恐ろしく不気味なものにも感じます。😨

“悪貨は良貨を駆逐する“って言いますけど、

警察署内の観葉植物🪴の手入れが行き届いていなかったのと、
問題を抱えた人たちを排除するのを一緒にするのはナンセンスですよ。


深間さんみたいな暴力刑事が摘発されること。それ自体は当然だと思うんです。
だから敵対する町内会も問題なんですが、深間さん自身もそんなに正しい人間じゃないですね。😅

「で、これからどうするの❓」って疑問もありますが、ラストは妙に爽やかな後味です。