荒唐無稽で、正直ツッコミ所も多い。人によっては駄作ともなる映画だが、楽しく観れた。
怪しさ満点のリゾートホテルに滞在したが最後…という設定で、「謎のビーチ」で引っ張る引っ張る。ただ、シャマランはカメラワークやギョッとする（かつ思わせぶりな）演出、ユーモアで飽きさせない。
悪趣味にマスクされがちだが、シャマランはかなりのヒューマニズム系監督なので、主人公家族が特殊な状況下で「再生・救済」される様は素直に泣ける。「老夫婦」となった２人が身を寄せ合う姿、共に目と耳が不自由なので自然とカメラに「２人」が収まる。老い、というマイナスに取られかねない事象を美しく描いている。
反面、そういう演出＆ヒューマニズムに乗れない場合は辛い評価になると思う。自分は楽しめたが、かなり際どい映画。ただ、人間を信じているシャマランを嫌いにはなれなかった。
あと、これ、バリバリのメタ映画ですね。窮地に陥った人間を監視する黒幕（シャマラン本人！）。映画を観るとは、つまり、窃視＝他人の人生を一方的に除き見る行為なのです。さらに追加で、ブニュエルの難解映画「皆殺しの天使」っぽいと思ったら、監督自身が影響を公言してますね。
