とりん

オールドのとりんのネタバレレビュー・内容・結末

オールド(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2022年64本目

「シックス・センス」や「アンブレイカブル」を手掛けたM・ナイト・シャマラン監督の最新作。
彼の作品には当たり外れがあるし、観ているものを置いてけぼりにするような作品も多くあるが、今作は当たりだったかな。
まず着眼点が面白いなと。時間の流れが早くて年老いていくというのはこれまでもあったようなストーリーだけど、そこにしっかりと意味を持たせてくれる。
相変わらず設定面などがメインに作り込まれているので、展開的にはそこまでではない。ただ人間の醜さ的なものも出ているし、時間は有限である、時間の大切さなどを改めて感じる。
狂気的な部分も多く描かれていて、さすがだなと思わせるところも節々にある。精神的な病をかかえる医者は頭が混乱し人を傷つけ始めたり、自分の容姿にコンプレックスを抱き拒食症気味の人は自らの殻に閉じこもって最後は醜く崩れていったり、てんかんをかかえた女性の最後をこれまでかと見せたり。
それはないだろってところももちろんあり、知り合ってすぐ性行し、子どもが産まれ、秒で死ぬといったところは狂気の沙汰じゃないなと思うくらい、ちょっと見ていて頭おかしくなりそうだった。
視点的な部分もこだわりを感じた。老いによって目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったり、そういった部分ももちろん演技と映像でカバーしていくが、驚くべきはメイク技術。この老いという部分において、特に10代半ばから50代までなった子ども2人は同じ俳優が務め、しっかり年相応の見た目になっているからすごい。シャマラン監督でこういった部分に関心するとは思わなかった。
出演者も観たことある方が多く、姉弟については弟が「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」のアレックス・ウルフ、姉は「ラストナイト・イン・ソーホー」などのトーマシン・マッケンジー。もう1人の子どもも「ストーリー・オブ・マイライフ」のエリザ・スカンレン、さらにその母で容姿を気にする拒食症の人の役はアビー・リーなどなど。
シャマラン監督の発想にうまくやられた。謎だけで終わらせても良いのに、時間の流れの速さを使った新薬開発のための臨床実験の治験という着地も良いなと。確かに弱いかもしれないがブレブレのまま終わらせるよりマシ。年老いる仕組みはいまいち理解できなかったが、ちゃんと解決まで持っていけたのはよかった。
とりん

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