手痛い停滞

オールドの手痛い停滞のネタバレレビュー・内容・結末

オールド(2021年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

フィクションというのは言うなれば嘘話でありファンタジーな訳だから、その中でどんな荒唐無稽なことが起こっても構わない。しかし、それを前提とした上で我々視聴者にはそれぞれ、自分が信じられるファンタジーとそうでないファンタジーがある。

僕にとってこの映画は信じることのできないファンタジーであった。

まず、設定があやふやすぎる。
生きた細胞に干渉して成長を早めるっていうのが理屈らしいが、じゃあ死体が数時間で白骨化したのはなんなんだ。死んだ細胞には干渉しないんじゃないのか。いやというか、死体の分解は微生物がやるものだから、あの空間では微生物の活動も何百倍になるってことなの??
あと、髪の毛は死んだ細胞だから伸びないとも言っていたが、歳をとったトレントは青髭生えてたぞ。

オチの「製薬会社の陰謀でした」ってのも納得いかない。
爆速で治験ができるからっていうのが言い分らしいがそれだけだけのために大勢の病人を連れてきて死なせるってのもリスクがでかすぎる。だって現実ではちゃんと行方不明になってるんでしょ?
「被験者の履歴を消せ!」とか言ってたけどその程度の工作バレずに済む訳ないでしょ。
あと、あれほど特殊な環境下でとったデータが、通常の環境下でも通用するかはわからないでしょう。
そもそも治験ってのは、何人も何人も色んなパターンでデータを集めてやっと実用化にこぎつけるのであって、被験者のおばさん一人のてんかんの発作がおさまったからといって、すぐに実用化移れるわけない!
そんな感じで様々な要素が引っかかってなかなか集中して見れなかった。

と、ツッコミどころを論えばキリがありませんが、それでも映画の端々に「おもしろい!」と感じるシーン(爆速妊娠からの赤ちゃんの死とかバキバキに骨が折れたギャルとか)があり、なんだかんだ最後まで観させられてしまいました。
そこはシャマラン監督の映画力なんだと思います。
手痛い停滞

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