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ヘルムート・ニュートンと12人の女たちのilのレビュー・感想・評価

3.4

写真家ヘルムートニュートンのドキュメンタリー。

反骨精神の権化。故に非凡。
女性の肉体美を偏執的に捉え続けた氏の背景を12人の女性に聞いて回る。

胸に刻んでおきたい言葉は、
写真家にとって汚い二つの言葉。
「アート」と「センスがいい」。

常套句ほど凡庸で通俗的で本質を何も捉えていないバカ丸出しな言葉なのかもしれない。

序盤のニュートン女性蔑視主義説ら辺はちょっとキツかったけど、途中からは普通に観れた。

芸術的価値の創造は物凄くざっくり言えば、
1+1=2 という数学的アプローチではなく、
1+鮪=アルミニウム
を作り上げる行為なのだと思う。

そこに必要なのがユーモアや諧謔であり、
しばしば氏が炎上してしまう原因でもあるのだが、その要素を排して仕舞えばただ合理が残るのみで何の面白味も無い。

より高次なアートを表現するうえで、
美的センスの向上は絶対に不可欠で、
センスの良い写真は須くアートの匂いがする。
その為に日々アートセンスを磨かなければと思う。

……ほらね。
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