#twcn
1991年のLAでオレンジジュースを買おうとして撃ち殺された15歳の少女ラターシャの物語を彼女の祖母が亡くなった2018年のタイミングで企画化し2020年に公開した短編。
ガシガシ回収するオスカー候補(やはり長編は諦めたらしいw)
今から30年前。
今より根強い偏見。
誰でも銃を持てる社会。
LAという都会ですら。
ラターシャの親友といとこが彼女の詩を読み上げながら思い出と当時の恐怖を語る。
幼い頃に母を亡くし祖母に育てられたラターシャ。
弁護士を目指し若者を支援するプログラムを立ち上げ地域貢献を目指していた。
この出来事は30年前だったら「当たり前」「日常茶飯事」「アフリカ系の少女が買い物をしているのだから盗みを警戒しても当然だ」とされていたようだ。
警察すら彼女の事件に駆け付けなかった。
同じ事が30年経った今でも変わらず起こっている。
アメリカではかなりの数を占めるアフリカ系も貧困層が多くその差別は根深い。
チョコバーを買うのも一苦労。
店主に追い出され小突かれ泥棒扱いされる日常。
しかし他に店はない。
ラターシャの死でなにかが変わっただろうか?
彼女の死の2週間前、ロドニー・キング事件が起こり、彼女の死の1週間後あのロス暴動が起こった。
★ここからは映画では描かれませんが歴史として★
奇しくも少女の死が引き金となり長年敵対していたアフリカ系LAギャングの二台巨頭、BloodsとCripsが協定を結び、そのヘイトがアジア系やスパニッシュへ向かった。
少女を撃ったのはアジア系の女性店主。
店主の証言によると日頃からアフリカ系やスパニッシュの一部より万引きや強盗の被害を受けており、また日頃からのヘイトもあり銃を装備していたとのこと。
この日もただオレンジジュースを買おうとした少女をいきなり撃ち殺したのではなく、お互い口論に発展し掴みかかったりがあった様子。
結局、ラターシャが何も買わずにオレンジジュースをレジに置き店を後にするところを後ろから頭を狙って撃ったそうだ。
それで即死であれは大きなショットガンで撃ったのかな?と思う。
威嚇にも大きな銃の方が役に立つし。
※この辺私もそんなに詳しくないのでスパイク・リーの"Do the right thing"やデニス・ホッパーの"Colors"なんかが勉強になります。近年では"Straight Outta Compton"でも描かれています。
#StopAsianHate
が叫ばれる今日この頃。
根深すぎる。
やはり銃を持つ権利と銃を撃つ権利にもう少し規制できないのか?
持たざるを得なかったアジア系の店主。
その店でしか買い物ができなかったアフリカ系のラターシャ。
根深すぎる。
ドキュメンタリーとしての主張は分かるのですが、その前後の大きな事件や当時の状況には敢えて触れないので、これを意図的な印象操作ととるかバイアスととるかラターシャの映画だから、ととるかは人によるかも。
特にちょうど同じ時代にカリフォルニアを捨てアーカンソーに越した韓国系移民の「ミナリ」が公開された分少し部が悪い気もする。
1人の少女の殺害の背後には大きく深い事情があったがこの映画には描かれず、ラターシャという少女がどういう人物だったか、そして彼女の周りの人々の想いや彼女が当時書いた詩などが登場するので、問題定義というよりは1人の少女の悲劇という非常にパーソナルなお話。
旧
日本語字幕:佐藤 朝子