なっこ

パリの調香師 しあわせの香りを探してのなっこのレビュー・感想・評価

3.2
私の父のかける給仕してくれた方への「ありがとう」はいつも美しい。

それが私が受け継ぎたいと思っている彼の唯一の美徳。

それと同じように、
人生で大事なことは全て関係性なのだと、この映画は教えてくれる。

それも、きっと些細な心掛け。
「ありがとう」「お願い」「助かったわ」
そんな、言葉かけで済むような気遣いを周りに出来るかどうか、なのだと思う。
それ以上に大事な仕事なんてこの世界にはないのだと思う。だってそこには誰かを想う、そういう気持ちがあるから。それがなければ、きっと良い仕事は出来ない。

ギヨームとアンヌの出会いはお互い人生が好転していく小さなきっかけになる。立場も境遇も生き方も違う。でも、違うからこそ言えるアドバイスがあるし、聞ける愚痴がある。そういう人生の出会いの素敵な部分を描いてくれている。
彼の指摘が彼女を変える。そして、人生を一歩前へと進ませる。閉じこもっていた彼女が、本当にやりたい仕事へと手を伸ばす機会を与えてくれる。

夫人と運転手。

ちょっとチグハグ感のあるコンビ。フランス版「グリーンブック」のようだと私には感じられた。

パリの部屋は狭くてもお洒落。
街並みや内装、生活そのものに憧れる。それを楽しむためだけに見るのも良いかも。

【余談】
彼女の余計な匂いを排する生活ぶりに全く違和感を感じなかったのは、千早 茜さんの小説「透明な夜の香り」を読んでいたからかもしれない。こちらの主人公の方が上をいく徹底振りだったので。
なっこ

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