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アンダードッグ 後編のsymaxのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)
3.7
簡単に勝って終わるはずだったあの試合…結果は晃の判定勝ちですが、観客は誰が勝ったのか理解しています。

そう、"ロッキー"と同じ、アポロ・クリードが勝って負けたように…

その後の晃は見るも無惨な状態に…ようやくボクシングを辞める決心をつけるも妻の心は完全に離れ、デリヘル嬢明美は、度重なるDVに疲弊し、デリヘル店長木下は、嬢を奪われ開店休業の状態に…晃を始め晃が関わる周囲の人々も救われずグダグダに…

一方、将来有望なボクサーとして順調満帆だった龍太は、闇の過去からの仕返しでボクサー生命を絶たれる程の事件に巻き込まれる…それは自業自得とも言えますが、龍太が最後の対戦相手として選んだのが晃。

一見、何の関係性も見えない二人には意外な繋がりがあり、絶望し燃え尽きた晃の心に何かが輝き、晃は再びリングへ…

晃は前編も酷かったですが、更に酷い状態から後編は始まります。

晃だけで無く、登場人物全てがこれでもかと追い詰められ、見ていて辛すぎるシーンが多いです。

それでも試合に向け、少しずつ皆の気持ちが変わるというか、晃と龍太への思いが伝わっていく展開には胸熱くなります。

そして、ゴングは鳴ります…

二人のボクサーの息づかい、セコンドの怒声、観客の熱狂…無駄な音楽を省き、本物のボクサーの試合を見ているかの様な異様な迫力を魅せる展開で更に胸熱に。

前後編合わせて、三人三様のボクサーの人生を熱い拳で語り、魅せ、そして石崎ひゅーいの切ない曲で締める…年の瀬にいいもん見た。
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