tetsu

ワールド・オブ・グローリーのtetsuのレビュー・感想・評価

3.0
監督の作品に興味があり、ぴあフィルムフェスティバルで、鑑賞。

漠然とした不安にかられる中年男性。
理不尽な世界で生きる彼が、こちらへと語りかけてくる悪夢のような短編。

裸の老若男女がトラックの荷台いっぱいに詰め込まれ、ガスらしき気体を入れられたのち、運送されていく冒頭シーンから、嫌悪感MAXになる激鬱短編。

それ以降も、息子の額にタトゥーを入れるシーンや、眠れない主人公が薄暗い寝室で耳を塞いで、ぶつくさと独り言を続けるシーンなど、ひたすらに精神的ダメージを与えてくるので、シンプルな悪夢でしかない。

「自身の最高傑作どころか、映画史上に残る傑作」とニヤニヤしながら語った監督の前説を思い出すと、「完全にこの人は正気ではない」と実感させられた。
(確かに、唯一無二の作品は評価できるけれど、好きといえるほどの寛大さはない。)

顔面蒼白の登場人物、固定カメラ、観客に語りかける主人公には、後の監督作品への大きな萌芽がみられるが、トラウマ案件なので、オススメはしない。
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