ぺん

デニス・ホー ビカミング・ザ・ソングのぺんのレビュー・感想・評価

4.0
恥ずかしながらデニス・ホーは名前は聞いたことがあるかなくらいで歌も知らなかった。
香港生まれのモントリオール育ち。
中国本土でも大人気のスター歌手が立場も収入も投げ打ち、逃亡犯条例へ抵抗し、香港のために闘いどう過ごしたかを描くドキュメンタリー。

香港返還からカナダ移住、師匠のアニタ・ムイとの出会いを通し、かつて恋愛ソングを歌っていた彼女は政治、社会問題へ取り組んでいく。
そして自ら同性愛者をカミングアウト。
彼女は強いけれど迷い苦しみながら今も抗っている。
同じく民主活動家として闘い、立場を危うくしたアンソニー・ウォンも登場する。
圧力や恐怖に屈することなく生きるのは誰にでも出来ることじゃない。彼らの勇気に感服する。

ニューヨークのライブハウスで小ぢんまりとライブを行うデニス。
もう彼女は本土へ立ち入れないため、中国から観に来た客もいたらしい。
中国政府が本土からエンタメを締め出すのはその影響力の強さを恐れているからだろう。
彼女と彼女を支える人たちに幸あれと思いながら、
日本だって他人事ではないのに見ないふりをしたままで良いのか歯痒い。
香港を始め世界で独善的な権力が振りかざされていることを知る、それ以上の何ができるんだろう。
ただ考えるのはやめないでいたいなぁ。

香港デモのドキュメンタリーとしたら少し物足りないかも知れないが今見てよかった。
ぺん

ぺん