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無聲 The Silent ForestのカポERRORのレビュー・感想・評価

無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)
3.8
私事ながら、昨夜38.2℃の熱を出し、本日かかりつけ医の検査でA型インフルエンザ陽性となった。

…Yes!これで会社休める!思わずガッツポーズ!(๑•̀ω-)و
とは言え、熱がまだあり、クラクラする。
なので、大人しく家のベッドで寝ながら、映画でも観るか…と言って観たのが『藁にもすがる獣たち』と本作『無聲 The Silent Forest』である。
はっきり言おう。
どっちも”インフルエンザで発熱中”に観るべき映画ではない。
特に本作『無聲 The Silent Forest』…最初から最後まで全く救いのない、言わば胸糞ストロングスタイル台湾代表と言っても過言ではなかろう。

あらすじは以下の通り。
ろうあ者特別学校で繰り返されるイジメや性的暴行の数々。
調査に乗り出した熱血教師のワンは、大勢の生徒たちへの丹念なヒアリングから、虐待に参加していた者も、その根源を辿れば、皆、過去に先輩から無数の虐待を受けていたことが発覚する。
そんな中、首謀者の生徒ユン・グァンだけは、自分は誰からも虐待など受けていないし、自分が直接イジメや性的暴行を行ったことはないと言い放つ。
更に彼は、「イジメや性的暴行は単なるゲーム。皆遊んでいるだけだ」…とワンに対しサイコパスっぷりを見せるのだった。
だが、やがてユン・グァンこそが、過去、このろう学校で、とあるベテラン教師から日常的な性的暴行被害を受けていた張本人だと分かる。
果たして、この虐待による負の連鎖は止められるのか?ユン・グァンが隠そうとしていた思いとは?…というストーリー。

虐待ものと言えば、韓国映画の『トガニ』や『幼い依頼人』が真っ先に思い浮かぶのだが、いずれも教師や親といった大人から被害を受ける子供がモチーフになっていた。
本作も、最終的にとある教師の性的暴行事件が背景にあったと判明するのだが、中盤までは実にろう学校のクラスメート…つまりは「生徒が、ターゲットの生徒に性的暴行をくわえる」という凄惨な事件が描かれている。
これは、決してイジメ等という生易しいものではなく集団レ〇プ…凶悪犯罪である。
この描写がすこぶるしんどい。
しかも、加害者の多くが、過去虐待を受けてきた被害者なのだ。
当然、被害者だからといって、別の子に暴行をくわえる行為が正当化される訳ではない。
だが、ろうあ者が直面する、”被害にあっても大声を出せない””ろうあ者の言うことなど誰も信じてくれない”という現実が、彼らに行き場のないストレスを蓄積させていることは紛れもない事実である。
特に、首謀者ユン・グァンがラストシーンで吐露する重すぎる感情は、何と形容すれば良いのか全く相応しい言葉が見つからない。
ちなみに、本作も実話ベースの物語なのである。

まあとにかく、こんな強烈な作品、熱にうなされている時に観るとか、正気の沙汰じゃない。
2時間前の自分に訴えたい。
「おのれは黙って『屋敷女』でも観てろ!」(それもあかんチョイスや。)
今日は全く頭が回転しないので、これ以上は割愛するが、もし本作を鑑賞される方は、是非体調万全な時に十二分に覚悟の上、御視聴頂きたい。
現在『無聲 The Silent Forest』はhuluにて配信中。
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