「さよなら私のロンリー」に続いてまた地震のシーンが。
「かもめ食堂」や「めがね」の荻上直子 監督。おいしそうな食事シーン、空気感はいつも通り。でも本作は光の反射を多用した少しドリーミーな映像や、他作品よりパリっとした役者たちの演技が新境地。
松山ケンイチ主演もさることながら、ちょっと美しすぎる満島ひかり、演技派の榎本祐など、キャストも豪華。
なによりムロツヨシの怪演は凄かった！フォルムまんまるじゃんｗ
刹那、呾刹那、臘縛、牟呼栗多・・・
仏教での時間の単位ムコリッタを冠する川っぺりの集合住宅。そこに親の愛を知らない孤独な青年、山田が引っ越してくるが、隣に住んでいたのは厚かましい自称ミニマリスト島田だった。
最初は拒否しつつも彼の厚かましさに引きずられて、小さな幸せに気づいて、心がほぐされていくような再生の物語。
”風呂上がりは牛乳なんだ？”
”ご飯たべちゃいますよ？”
何気ないひとことが大切なんだな。
終盤、そこまでの説明のなさをかなぐり捨てるような独白シーンには違和感あったけど、登場人物それぞれの孤独と死生観に際し、考えさせられる作品でした。それぞれの過去に何があったのかを置き去りにしたのも納得。
”僕が死んだときに誰か一人でもさみしがってくれる人がいればいいと思ってるの”
ホントそれでいいと思う。
でも残される側の孤独を考えると一緒に死ねるのがいちばん・・・とも。
遺骨映画としては「洗骨」が思い起こされるが、ガム坊主の”来る”は「キツツキと雨」、川辺の空にただようアレは「NOPE」を思い浮かべちゃいました。
