今日は「川っぺりムコリッタ」を。
炊きたてのまっしろなご飯にイカの塩辛のっけてガツガツ食べたくなる作品。
ぽんわりした雰囲気だけれどぼんやりと生と死がテーマとしてあり、お金がないという意味でもメンタル的にも三途の川に近い人々の生活を描いている。
けれど劇中のムロツヨシ演じる島田さんの「貧乏でも孤独じゃなきゃ大丈夫。ぼくお金ありませ〜ん!って大声で叫べば。」の言葉通り、悲壮感はない。
登場人物たちのよに夏には自分で育てた茄子やきゅうりを獲り、イカの塩辛のっけたご飯を食べて、狭いけれどぽかぽかのお風呂に入れて、たまにお金が入ったときにはみんなですきやきが食べれりゃ。
それと同時に松山ケンイチ演じる主人公・山田が働くイカの塩辛工場でさばかれるイカたちが何か得体のしれないグロテスクなものに見える瞬間があり、私たちは命を頂いている、という意味でも食べることの大切さ、そして諸行無常を描いている作品でもあると思った(この感覚は、少し前に見た「心と体と」というハンガリー映画でも感じた)
生命力あふれる松山ケンイチさんの食べっぷり、生も死も、幸も不幸も達観したムロツヨシさんのまなざしも、吉岡秀隆さんの朴訥とした雰囲気、緒形直人さんの熱さ、演者さんの演技はすべて素敵だったけれど、満島ひかりさんの骨とのシーンが素晴らしかった。
最初はなぜこの役が満島さんなのか分からなかったけれど、あのシーンをあんなにも官能的に演じられるのは満島さんしかいなかったと思う。
きみの、おいしいご飯を誰かと食べられるしあわせが、ずっと続きますように。
やっぱり荻上直子監督作品、大好きだ。