身近な人の死で、残された人は今をどう生きているのか。
その描き方が絶妙。
他人との距離感ゼロで懐に土足で踏み込んでくるような人であっても、話したくないことはある。
その話したくない部分が垣間見えるシーンと、それを見守る人たちの距離感の取り方が良かった。
下手な映画だったら、薄っぺらいセリフで必要以上に寄り添って台無しにしてると思う。
満島ひかり以外の人物は、主人公（松山ケンイチ）が見聞きしたところまでしか映されない。
それが「この人はこうなのかな？」と、松山ケンイチと同じ目線で見ることができて想像が膨らむ。
満島ひかりだけ少し掘り下げられるけど、それが身近の人の死を補強してくれて、最後のシーンに上手く繋がってると思う。
それが序盤でムロツヨシが満島ひかりは今でも旦那さんが好きと言っていた事にも繋がっていたりと、いろいろと上手い。
日本映画によくある心情をセリフで語る部分は殆どない。
仲直りもセリフの掛け合い無しに「塩辛の入ってた壺」を使って表現してる。
人物の掘り下げもそこそこだから、分かりやすく濃厚な人間関係の物語が好きな人には合わないかも。
個人的にはこの作品の距離感は見ていて心地よかったし、程よい余韻に浸れた良い映画でした。
強いて言えば真夏の物語なので、暑さのある時期に見るとより感情移入できるかも。
