けーはち

林檎とポラロイドのけーはちのレビュー・感想・評価

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
3.4
記憶喪失を患う原因不明のパンデミック発生。完治は諦め、医療担当者の指示をこなし、ポラロイドで記念撮影しながら新たな人生経験を刻み込むプログラムをこなす男だが──ケイト・ブランシェットが惚れ込んだギリシャのクリストス・ニク監督。コロナ禍の影響を受けつつ、IT機器は画面から意図的に排した暗くシックで現代人的にはシュールな日常ドラマが東欧らしく、ジングルベル、白鳥の湖、きらきら星、アヴェ・マリア、サイモン&ガーファンクルなど人生の原体験を揺さぶるような音楽が流れる中、無表情な男が少年のように自転車を漕ぐ等の場面が印象的。人間は日々忘れてゆくし、忘れたいものもあるけど、まあ、それも仕方ないし、大事なものはできるだけ留め、思い出して行こうね、というのは古代文化の遺跡の観光業を主要産業としているギリシャ人らしい。