Ginny

ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけているのGinnyのレビュー・感想・評価

5.0
酷だな、と思った。

若干17歳の子が背負うものでも体験するものでもないと思うけれど紛れもなく彼女には才能があり、人間の性なのかその才能を味わいたいと思ってしまう。
そう思う人、それに救われた大勢のファン、興味本位で話題にする人、商売道具と思う人etc たくさんの人がビリーに群がる。

そして唯一の立場の人たち、親。
特に母親は複雑な胸中なのではないかと感じた。

前半は、自宅での楽曲作成の模様など制作の裏側が見れて面白かった。
こんな狭い部屋で?!道具があれば場所を選ばずレコーディングできちゃうの?!あのPVってこうやって撮ってたの?!と驚き。

後半にいくにつれて人気がヒートアップすればするほど翳りも濃く見えてきて心配な面も。
飲酒運転する彼氏と別れてくれたのは良かったと他人なのにホッとしてしまいましたが彼は彼で複雑な気持ちもあったかもね。でも会いに来てと言って会いに来てくれない、電話をかけても反応鈍いのはちょっと…(´•ω•`;)

兄がそばにいてくれて良かったね、とも思いつつ兄は成長して自宅を出たのかな。
変わらない家族構成があっても、関係性やバランスが状況によって変わっていくことがあるから心配もある。

もう、やめようよ、
一般人が才能のある芸能人の未来や心を潰すの。
人の命は平等です、だけどどうにも超えられない線が引かれた天才と凡人の差があるのだと私は思っている。
凡人が、天才の揚げ足を取って批判する様が気色悪くて仕方ない。
凡人が作ったルールに規則に気味悪い常識にそぐわないからって、貶めて何が楽しいのかな?届かないと思った天才も自分達とおんなじと思いたいの?もしくは自分が喉から手が出るほど欲しい才能を持った天才が悔しくて妬みで羽根をもぎ取りたいの?

有難い一部の天才の存在と、数多の凡人の頑張りで世界は成り立っていて天才は互換がきかないと思っている。凡人の命も替えはきかないけど仕事の替えはきく気がする。

その天才の命も、この世でその天才がもたらしてくれる表現も奪われたくない。
拝ませてほしい。

だから、人々がスターを消費していくのが見ていてつらい。

難しいなと思うんだけれどね。
スターになればなるほど大勢の関係者の仕事や頑張りがあってこそ成し遂げられることがある。
でも際限なくひとりひとりと会うことも言葉を交わすことも、自分に置き換えてみればどれ程苦痛かわかるはず。

彼女ほどの素晴らしいアーティストが、何故グラミー賞であんなに低姿勢で謙虚なのか少し不思議だったのですが、本作を見て納得できました。
大衆に知られる大スターというのは、追い詰められるということ、顔の見えない/ファンでもない人からの一言が白い絵の具に落ちた一点の黒のように簡単に消えずに残ってくすませる。

その道を歩んできたケイティペリー、ジャスティンビーバーの姿が印象に残っています。
彼らの表情は目が笑いきれていないというか、ビリーを案じているからかカメラがあるからか、少し不安になりました。

ビリーとそのご家族のこれからの日々の平穏が守られて心から笑って好きなことをできていられるといいな。

最後の方のシーンであの曲がかかって涙が出ました。
あの曲は、他の曲と雰囲気が違っている気がして初期なのにどこまでも壮大で深淵で心が洗われます。


ビリーのファッションスタイルが好きだったのですが本作を見てより好きに、そして彼女に1番似合うのはこれなんだなと思いました。
彼女の透き通って美しいけれど影がある存在感のある瞳に対してハイブランドの総柄でないと太刀打ちできない気がしました。

そしてジャスティンビーバーの熱狂的なファンということに驚きw
Bad guyのジャスティンremixいいですよね。好き。
Ginny

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