MASH

続·ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画のMASHのレビュー・感想・評価

3.0
まさかの14年ぶりの続編。前作は半分ドッキリのような、フィクションと台本の境目をうまく活かした傑作モキュメンタリーだった。だが、それはボラットが知られてなかったからできたわけで、有名になってしまった今どういう作品になったのか。結論から言うと、今の時代にもう一度ボラットを登場させる意味は感じられたが、映画としては前作ほど上手くいっていないように思える作品だった。

ボラットが有名になり過ぎて取材できないので、今作はボラットの娘が登場。この辺のコメディが前作ほどのインパクトがない。サシャ・バロン・コーエンは前作ほど体を張れないし、それは娘役をやったマリア・バカローヴァもそうだ。もちろん2人とも上手いのだが、この二人の絡みがインパクトのある笑いには繋がっていないように思える。一つ一つのギャグも冗長に感じた。

スタイルが風刺を含んだナンセンスなコメディから、完全な風刺コメディになったのは変化として面白かった。ただ、前作からのナンセンスな部分と今作特有の風刺要素が、それぞれを弱め合っているような印象を受けた。

ボラットという強烈なフィクションのキャラが現実に入り込む面白さが前作の要だったが、今作ではボラットを含むフィクション要素が足枷になっている気も。激動のアメリカを捉えたものとして面白いが、もっと強烈なものを期待していたところはある。一部それに答えてくれたが、思い出すのは前作がいかに色んな意味で飛び抜けていたかということだ。
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