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あの夏のルカのあのネタバレレビュー・内容・結末

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ただ漠然と、『スタンドバイミー』的な友情系の作品なんだろうなぁと思いつつ鑑賞を始めたらビックリ、友情系なのは間違いないけれど、裏切られた。かなりの良作。ここ最近観たピクサー作品で一番好きな世界観だった。

主人公はシーモンスター。
人間とシーモンスターは相容れない。

畏れ、忌み嫌い、怪物が迫害されるような物語は数多く存在するが、今作のシーモンスターは少し特殊なように思う。
シーモンスターは、陸に上がれば人間と瓜二つ、水に触れれば変身する(元に戻る)。水分の有無で簡単に変身する事が出来る。

変身に於いて、根本が欲望である点はその他作品と変わりはないが、暴走的な変身、その欲望のまま、私利私欲に人間に害を為す存在では無いというのが、今作とその他との大きな間違いだろう。

迷信のまま、知り得ない存在に畏れていただけであって、結果として、分かり合えず筈だ!が見事に体現された、共存という、ピクサーらしい理想的なハッピーエンドを迎える。

欲と言えど、卑しさとは大きくかけ離れた、子供の夢見る心、好奇心、憧れ、願望がそうさせただけであって、そんな心が、人間とシーモンスターの世界を固く結び付けた。

お互いをよく知らなかっただけなのだ。

異種差別という深刻なテーマながら、設定も分かりやすく、その中で描かれる、ひたむきな子供たちが可愛くって、友情と愛が温かくて、優しかった。そんな作品。

続編に期待。
あ