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ロン 僕のポンコツ・ボットのRenのレビュー・感想・評価

3.0
平日の夕方とはいえ、自分含め観客2人は寂しい....。とはいえ映画自体はなかなか面白く、楽しめた。評判通り、完全にSNS世代へ向けたアニメーション映画。

SNSのシステムへの説明を潔く省いているのがまさにそれを物語っている。そんな現代の構造なんて観客が知っている前提のお話。

タイトル通りロンがポンコツもいいところで。アプリも無ければネットにすら繋がっていないポンコツで、愛らしいというラインを越え、SNSに潜む押し付け一辺倒の一方通行コミュニケーション人間の具現化に見えてくるのが面白い。

ドタバタコメディ展開も楽しいが、ロンのあまりのリミッターの無さが祟って、いじめっ子へ反抗するわ警察にまで手を出すわのやりたい放題。ここまでやるか?と笑った。きっとディズニーならここまではやらない。

デジタル化の進んだ世界の中でアナログなコミュニケーションを際立たせてくる展開は予想通りだけど、見せ方がかなり良かった。友情っていいよね〜という概念的な帰着でなく、ちゃんと「友達とはこういうものだよ」と明確に言語化して示すのが意外と見たことなくて。しかもこれ自体が「本来友達を見つける側のロン(Bボット)に友達の定義を教える立場の逆転」「プログラミング⇔コルクボード の対比」と、この映画ならではの面白さになっている。

ラストはちょっと腑に落ちないところもあったが、総じて良かったのではないでしょうか?ニット帽を被ったロンがどんどん可愛く見えてきたのでOK。

色んなアニメーションスタジオのごった煮といった感じで世界観のオリジナリティという点では今ひとつだが、そこは今後に期待したい。そういう意味では、類似テーマだけどアニメ表現のカッコ良さ・斬新さを押し出した『ミッチェル家とマシンの反乱』に軍配が上がってしまう....。

もしこれからスマホを持つ小学生のお子さんがいる家庭があったら、導入としてとりあえずこの映画を観てみるのも良いと思う。それくらい、SNSと共に生きる世代のネットコミュニケーションについての寓話として、よく出来ていた。

【余談】Liam Payneの『Sunshine』をエンドレスリピート中。



《⚠️以下、ネタバレ有り⚠️》










自分のBボットをアップデートされたことに怒り狂ったバーニーが、最終的に全Bボットをロン化させたことに戸惑った。やりたいことは分かる。1人の男の子が経験と絆の中で組み上げた人力プログラミング(小屋での友情を教えたコルクボード)が世界の新しいスタンダードになってハッピー。でも彼の行動にあまりノれなかった。思えば、序盤のロンを取り返すシークエンスから、彼には微妙に感情移入できない距離感があった。
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