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跋扈妖怪伝 牙吉 第二部のうにたべたいのレビュー・感想・評価

跋扈妖怪伝 牙吉 第二部(2004年製作の映画)
3.8
原口智生監督・牙吉の続編です。
ただ、本作では原口智生は特殊造形を担当していて、監督はバトンタッチしています。
脚本は一緒なので、プロットは前作同様、悪くないのですが、作品自体の雰囲気は大きく異なるものとなっています。

主役は引き続き原田龍二演じる「牙吉」。
流浪の旅を続ける牙吉はある村に流れ着き、その村で野犬に襲われる盲目の少女を救います。
自身も重傷を負っている牙吉は、少女の介抱を受けるのですが、そういった中、その村の外れに住む狼藉者「桜丸」の存在を知り、村民に桜丸の退治をお願いされます。
それを了承した牙丸と命知らずの桜丸は剣を交えるのですが、争いの中、安寿という女性の人狼が乱入してくる。
安寿は牙吉の命を狙っていて、一方で、自分を恐れない安寿に桜丸は心を惹かれる、という展開です。

牙吉、安寿、桜丸、村民、そして彼らの背後にいる悪の集団の存在がおり、関係が複雑で入り組んでいます。
ですが、見ていて混乱するようなことはなく、前作に比較するとテンポが良くて見やすい作品だと思います。
また、幕府によって妖怪が虐殺され、牙吉は流浪の人狼であるという説明が最初に行われるため、前作を見ていなくても本作からで楽しめます。
全体的に雰囲気が暗く日常パートでは眠気を誘った前作とは違い、結構良作だと思います。

前作のクセのようなものがなくなっています。
ここは良し悪しだと思うのですが、時代劇から一転、いきなり現代風の兄ちゃんがマシンガンを持って妖怪屋敷に殴り込む展開は本作にはなく、展開が丁寧です。
変な展開はなく、終盤は妖怪であることが効果的に用いられているため、監督が変わった本作のほうが普通におすすめできます。

ただ、流血シーンがおおげさすぎる感じはありました。
斬られて血が吹き出るのはいいのですが、ドクドク出るのではなく、すごい勢いでブシューッと出ます。
口から血を吐くシーンも、プロレスラーが毒霧を吐くみたいに、ブブーッと出ます。漫☆画太郎のようです。
やたらと派手にしてしまったのは、裏方のこだわりが出てしまったのでしょうか。
あと、終盤に桜丸の肉体美が登場しますが、ムッキムキで素晴らしいです。
本作の見所はここだと言って過言でないレベルです。

ラストもキレイに収まっていて、余韻が残ります。
もし三部があれば、とりあえず観ると思います。