さすらいの旅人

NO CALL NO LIFEのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

NO CALL NO LIFE(2021年製作の映画)
3.3
ホリプロ60周年記念映画にしては重く暗い。BS/WOWOWプライム録画視聴。

20代の若者が企画し、20代の女性監督が撮った記念映画。
個人的には記念映画なので、キャピキャピの明るい青春映画を期待したが、逆に切な過ぎて落ち込んでしまうタイプの映画だ。
過去からの留守電メッセージから始まるこのドラマは、もしかしてSFファンタジーかと期待したが、あまり関わり合いは少なく残念。

両親から愛情を受けずに育てられた高校生二人が、お互いの共通価値観から傷をなめ合って生きる映画だ。問題はこの二人に共感が出来るかどうかポイントと思う。青春時代の自由奔放な考えはいいとして、あまりにも稚拙な考えを持っており、正直共感できない。また、その二人に対して的確なアドバイスをする人物もいない状況だ。
当然二人は世間の目から離れて転落の道を歩むことになる。

本作はストーリー自体はよくある話だ。しかし、それにしても映画の内容が重く暗い。厳しい状況で力強く生きて行く活力が見えないのだ。後半の逃亡劇もリアル性が全くなく、失速感の強い展開にイラついた。

ただ、美しい映像的な世界観は監督の個性が発揮され良かった。特に二人が出会う小さな灯台がある埠頭のシーンは、個人的には大好きだ。また埠頭は二人にとって、誰にも邪魔されない場所であり、この映画の象徴的存在だろう。