しめちく

皮膚を売った男のしめちくのネタバレレビュー・内容・結末

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルの出方や、BGM、場面の見せ方など映画全体がアート作品のようだった。

芸術作品となることで出入国が自由にできるようになるが、オークションや個人売買などおよそ人権とは程遠い扱いをされる反面、五つ星ホテルに泊まりルームサービスで高級食材を摂ったりと一概にそうとも言えない状況下でもあり、その中で主人公の子供のような振る舞いが目立ちイライラする部分があった。

そもそも、この映画を見るまで実際作品となった人間がいることは知らなかったのだが、契約を交わす時に全てとまでは行かずともある程度どういう処遇になるかは想像できるはずなのに、「彼女に会いに行きたい」という気持ちだけで乗り切るには多少どころかあまりにも軽すぎる判断だったなと思う。
でもそこにシリア難民という紛争地域の社会情勢や社会問題を自然な流れで入れ、かつエンタメとしての非リアルさも取り込んだのはとても興味深い作品だなと思った。
人は生まれる地を選べないという非情な現実を見せられたが故に、ラストに対してこんなにうまいこと行くかよ、という気持ちと、みんな人の心を持ち合わせていたか、という安堵感とかないまぜになって、最終すごく考えさせられた。

主人公役の人が俳優さんではなく、シリアの弁護士さんだと知り、そんな彼が最後たとえどんな場所でも家族がいる故郷のシリアに帰りたい、とどんな気持ちで言ったのだろうかと考える。
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