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皮膚を売った男のmのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
2.5
難民問題を斬新な角度で切り込んだ作品。風刺は効いているが、倫理を問いかける作品が倫理に欠如しており、興味深く観てしまった。

設定が面白いなと思っていたら実在した(脚色はあるにしろ)話らしく、なるほど、そんなことがあったのかと勉強になった。
難民の男がアーティストに背中を貸し、背中にビザのタトゥーを彫り世界中を巡るストーリー。

今作の主題は【自由】であることは一目瞭然だろう。この主題に関しては一貫性がありとてもよかったと思う。不自由から自由になる為に立てた作戦により、より不自由に陥っていく様は見事。人をアートにしていいのか?物と同等に扱っていいのかという風刺を痛烈に感じさせる。
が、ラストにかけるどんでん返しが無様で一気に上がった好印象が下がってしまった。

まず、一貫して風刺を描いていたのにハッピーエンドに持っていった為に風刺が和らいだ点がマイナス。
そして倫理観を問いかけていたのが、ISIS戦闘員を用いたどんでん返しにより皮肉にも倫理観の欠如した作品になってしまっている点もマイナス。逆に倫理観を問うていた作品が倫理観の無さを露呈したのは興味深い。

ライティングの使い方がおしゃれでとても良かった。
競売のシーンは圧巻でとても胸にくる物があった。迫力がありサム(ヤヤ・マヘイニさん)の心情に没入してしまう。

ストーリーの着目点はいいだけに、少々残念な作品だった。

モニカ・ベルッチさん歳をとっても目を引くなー。

ストーリー : ★★☆☆☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★☆☆☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/世界が息をのむ
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