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皮膚を売った男のokappaのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
3.5
なかなか面白かった。全体的には静かな映画。しっとり人々の様子を眺める系。

人間がアートになることでビザを獲得し、難民という立場から自由を得る、そしてアートとして扱われることで人間としてのアイデンティティが揺らいていくというのは興味深かった。サムの表情変化が良かったです。半裸で展示される様子はなんだか虚で、鑑賞者やオークション会場の人々は異様に見える。

ジェフリーがなんか凄い人すぎだけど、良き人でよかった。現実はこんなに甘くないのでしょうけどまあ、よかった。

なにより実際に自分の背中にタトゥーを入れ自分をアートにした人がいることを初めて知りました。凄いな。今後ずっとアート作品だし、死後は皮膚を剥がして展示される。忘れられたくないみたいな思いが強い人なら向いてるのかな。

スペインやイタリア空港の取り締まりドキュメンタリーを観ていると、本当に全て捨てて一か八か偽造書類や偽造や盗んだ身分証で新天地を目指す人たちがけっこういます。難民ビザはなかなか審査が厳しく、そのため賭けに出ているようです。命の危機や生活苦から逃れるために。日本でのほほんと暮らしておりニュースなどで知ってはいても、現実に差し迫った問題なんだなとはあまり感じていなかった。

身の危険があっても、祖国にとどまるしかない人々もいる。日本でも殺人事件や行方不明が報道されますが、それと比較にならないくらい日々人が亡くなる殺される場所も多い。何処もかしこも平和になってほしいものです。
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