アリス

皮膚を売った男のアリスのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
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電車内でプロポーズの意味で「これは革命だ。自由が欲しい」と言ったばかりに不当逮捕されてしまう国もある。自由に発言が出来ないのは本当に怖い。

不正逮捕をされてしまった主人公が国外へ出る唯一の手段として取ったのは、芸術作品として自らの背中にタトゥーを彫る事だった。自分自身が美術品として商品になり世界を旅する。なんという内容だろう。美術品とはいえ人であるから思考する。人間性が現れる美術品。観客に罵倒されれば怒り暴れる。主体性のある商品だ。

アレルギーか何かで背中に変化があれば芸術的価値はどうなるのだろうと思っていたら、その点にもちゃんと映画では触れていた。価値が上がる下がるという観点でなく、それも芸術の一部とするのかと考えていたがそうではなかった。芸術品である前に生物としてあると思っていたので、背中のタトゥーに変化があってもそれも作品の一部として描いてほしかったと思う。

いまだ戦争が絶えない国、芸術とはなど考えさせられることが多くあり、面白い映画だった。
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