スベン

ディヴィジョンのスベンのレビュー・感想・評価

ディヴィジョン(2020年製作の映画)
3.5
1997年のブラジル、リオデジャネイロ。多発する誘拐事件がビジネスとして流行していた時代。
まさにブラジルの闇。治安の悪さ、頻発する犯罪。なによりも多岐にわたる汚職に賄賂。どこまでが事実かは分からないものの、南米の負の部分の詰め合わせは生々しく、かなり説得力がある。
そして市街地でいきなり始まる銃撃戦の迫力。街中が一気に戦場と化し、激しく容赦ない。

事件を追う警察も曲者揃いで、「殺人者」と呼ばれる暴力的な警官と、「オールスター」の異名の汚職警官(コリンファレル似)の二人。
犯罪者もだけど、警察側の捜査方法も大概なので、ここまで真っ当な人が誰もいない作品もすごい。
そして誘拐請負人が存在する異質さ。犯罪に対して、人脈を利用したビジネスという言葉の軽さが恐ろしい。

後半に「潔癖な警官なんていない」と主人公二人が衝突する。それでも他と違うのは警官として、人として譲れないものがこの二人にはあったということ。それだけが本作の救いかもしれない。
そうではない人間も多分に存在するので、歯痒く実に嫌な後味を残す。
南米の作品はやはり異色で、全編に渡ってぎらぎらとしている。
スベン

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