MasaichiYaguchi

青い、森のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

青い、森(2020年製作の映画)
3.8
第2回「未完成映画予告編大賞」で平川雄一朗賞とMI-CAN男優賞を受賞した作品を長編映画化した本作では、主人公の波をはじめ彼の友人、志村も長岡も喪失感に囚われていて、心にある空洞を何とか埋めようとしているように見える。
波は幼い頃に両親を亡くし、育ててくれた祖父まで最近亡くし、顔に傷があることもあって心を閉ざしてきた。
そんな孤独な彼の心をこじ開けた志村と長岡と友人になっていく波だったが、高校3年の或る日、忽然と姿を消してしまう。
本作は残された志村と長岡が、何故彼がいなくなり、何処に行ったのかを巡る物語。
物語は波の失踪から4年後を舞台に過去を振り返りながら、その謎が思わぬ切っ掛けで紐解かれていく様を静かに描いていく。
タイトルにあるように鬱蒼とした森が何度か登場するが、それは恰もこの世とあの世の“境界”のように思える。
そして、この森は心震わせるような幻想的なラストへと登場人物達と共に我々を誘う。