このレビューはネタバレを含みます
主人公の(と言い切ってしまって差し支えないだろう)殺し屋、ジョナサン・ミラーの哀愁がしみる映画。
最後の戦いの前に、ジョナサンは「あんたが俺にくれたのはこれだけだった」と言って、パトカーのミニチュアを掲げる。
ジョナサンはいい子だったから、プレゼントをもらえた。
それ以外のプレゼントをもらえなかったのは、ジョナサンが悪い子だったからではなく、「新しい親をください」という、サンタには不可能なお願いごとだったから。
サンタに親の虐待はどうにもできない。そりゃそうだけど。
さらに、唯一もらったプレゼントがパトカーのミニチュアだったことは、中盤のシーンと照らし合わせれば「殺し屋じゃなくておまわりさんになっていたかもしれない」という示唆でもある。
ジョナサンが飼育していたハムスターが最後にサンタの家で回し車を回しているのは、小さな救い。
この映画にテーマがあるとすれば、「優しさだけでは足りない」というようなことだろうか。
最後に悪ガキを脅しに行くサンタは、厳格な父なる神、悪しきを罰する存在という感じがする。