ショーン

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティのショーンのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

原作愛を感じる作品だった
ただ、あまりにもいろいろ詰め込みすぎてて
正直、意味不明な映画
そして内容はすごく薄いです
原作に対する愛が必ずしも作品の良さに繋がるわけではないのかと思わされた

序盤はかなりいいんですよね

特に導入部分は雰囲気もすごくいいし
映画には引き込まれるほどの魅力を感じる

クレアの幼少期から物語が始まりますが
ここの場面が王道なホラー演出ってのもあり
怖さを感じるし興味も惹かれる

そして、時が進み
ラクーンシティの町全体が舞台になり
物語の本題が始まります

ここもなかなか良くて
普通にワクワクさせられるんですよね

トラックで轢いた人間が突然消えたりとか
町の人たちの様子がおかしかったりとか
徐々に人々がゾンビに変貌していく様子とか
こういうのもホラーとして上手く見せてました

ベタと言えばベタだけど
ホラー映画には
やはりこんな王道なものを求めてますし

見たいものはちゃんと見せてくれてるんですよ


ここまではいいんですよ

しかし、だんだん雲行きが怪しくなってきます

面白くなりそうな雰囲気だけで進んでいき
なかなか盛り上がらない

そして、終盤に近づくにつれ
いろいろと怒濤の展開になっていくけど
なんか意味がわからない

主人公が何をしたいのかもわからない
てか、主人公が誰かなのかすらもよくわからん

この映画の欠点は
原作の要素を詰め込みすぎているところだと思う

ゲームを知っている人なら
なんとなく着いていけるんですけど

これ、知らない人は
なんのこっちゃ
って映画だと思うんですよ

まず、登場人物なんですけど
すごくごちゃごちゃしてます

そんなに登場人物が多いというわけではないんですけど
それぞれのキャラに設定を背負わせすぎて
めっちゃとっ散らかってます

重要キャラを多く出してる上に
それぞれにスポットを当ててしまってるから
結局、全員薄くなってます

それぞれのキャラの目的も違うから
どこへ向かって話が進んでるのかも不明
誰目線で物語が進んでいるのかもわかりません

メイン主人公っぽいのはクレアですが
そもそも彼女の行動原理がよくわからないんですよね

真実を知ったからラクーンシティに戻ってきたらしいけど
何をどうしたいのかわからない

一体、クレアは町に何をしに来たのか?

他のキャラも目的がよくわからんまま
ダラダラとなんとなく話が進んでいきます

最終的に町から脱出することが目的になってるけど
いつの間に?
って感じです


そして、設定も詰め込みすぎの説明不足で
かなりぐちゃぐちゃになってます

説明しなくちゃわからないことを説明せず強引に押し進めている

例えば
町の人たちゾンビ化ですら謎な状況で
リッカーが出てきて
さらにそのリッカーをリサ・トレヴァーが出てきて倒すという

唐突に出てきた謎モンスターを
唐突に出てきた謎モンスターが倒すって
なにがなんだかわからん状況

その後も全く説明なしだし

僕はバイオハザードの世界観を知ってるから
リッカーやリサ・トレヴァーが出てきても
なんとなく受け入れることができるけど

知らない人からすれば
マジで意味不明だと思うんですよね


他にも
ウェスカーが裏切るのだって
ゲームでのウェスカーの立ち位置を知ってるから
この展開は納得できるけど

知らない人からすれば
こいつ何なん?って感じだと思います


ラスボスなんかも本当に唐突で
Tウィルスの説明もないままGウィルスまで出して
説明不足が渋滞してるんですよ

結局、リサ・トレヴァーもなんだかわからんまま有耶無耶で終わって

何もかもが解決しないままで
なんか脱出して終わりの映画になってました

たぶん、監督はバイオハザードが好きなんだろうと思います
この映画を観ていると
原作に対する愛は感じれるんですよね

好きだからこそ
いろんなキャラを登場させたかったんだろうし
原作の世界観を全部持ってきたかったんだろうと思う

でも、やり過ぎちゃったって感じ

本作はゲームの1作目と2作目を合わせた内容になっていて
さすがに詰め込みすぎですよ


詰め込むのなら
ゲーム1作目の館だけを舞台にして
評判がよければ続編
みたいな形でよかったと思う


欲張りすぎなのかリスペクトしすぎなのか
愛が暴走してしまったが故に
1つの映画作品としては残念な結果に終わってしまった



でも、良い部分も多いんですよ

やはり、ホラー演出は全体的に悪くない

館でのゾンビとの戦いとかはめっちゃ良かったです

ライターがついたり消えたりの場面なんてハラハラさせられましたし
ゾンビとの戦いもギリギリな感じでスリルがあります


原作愛があるので
原作オマージュなどもとても気が利いてるな
と思わされました

武器なんかもバイオハザードって感じで
最後にはロケットランチャーまで出てきましたし
こういうのはテンション上がります

基本的に「バイオハザード」の雰囲気は上手く作れてるんですよね


この映画って
断片的に見るとめっちゃ良いシーンが多くて
クオリティは全然低くないと思うんですよ

ゾンビやクリーチャーの造形も頑張っていて再現度はすごく高い

これを上手く繋げてさえいれば
「バイオハザード」の映画として名作にすらなれていたんじゃないかと思う

そう思うと
本当にすごくもったいない
ショーン

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