みや

映画大好きポンポさんのみやのネタバレレビュー・内容・結末

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

この作品にとって殆ど呪いになった「90分」を、映画的演出たっぷり詰めて仕上げていた。それだけでもすごいなと思う。
原作を読んだら確実に、そうでなくても見たなら、この映画の上映時間は90分ではなくてはならないと結構な人数が考えるだろうと思う。内容がどんなによくてもこの一点を逃すだけで「惜しい」になったんじゃないか。
撮影をする人たちだけではなく、外、スポンサーの存在についても触れられていたのはなんだか良いなと思った。説得のされ方も、ただ「偉い人がいいって言った」のではなく、「多くの人が支持したことが数字として表れている」と根拠らしいものが提示されていたし。


見て、ぐちゃっとした思いをしばらく練った結果、
ジーン監督の「MEISTER」はきっと、俺の為にも作られた映画だったけど、
この映画は俺の為に作られた映画じゃない。
ただそれが、この映画を好きにならない理由にはならない、って感じの、着地。

改変、継ぎ足しは仕方ないし気にしないが、ジーン君の最初の編集、15秒のトレーラー作成はもっともっと長く見たかった。たった15秒を作り上げるのにどれだけ自由な彼だけの世界があるかを見たかった。
少し気になったのは、前振りの薄い展開と言葉による語りすぎを何箇所か感じて、そこだけ急に映画的ではない印象だったこと。

原作になかった部分に関して。
学生時代は関わりが薄く、今でも性質として真逆に見える同級生と友達になれそうな展開自体は好きだった。アラン君逆輸入されないだろうか。
最終的に「夢を持たない自分に夢を見させてくれる映画を撮ってほしい」という展開上の都合と分かり腹落ちしたが、途中まではモヤモヤしていた。
別にクラスの人気者を指して「あいつら満たされた気になってっけど全然空っぽなんだぜ」とかしたい訳じゃないんだよな、みたいな。

追記。
とったものを、持っていたものをいくつも切ってきたジーン君が、
切ったものを、失ったものをとらなきないけない、足りないって言うのはいいなあと思った。
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