ぴよまろ

映画大好きポンポさんのぴよまろのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
4.2
杉谷庄吾【人間プラモ】原作漫画の映画化作品。ハリウッドならぬニャリウッドを舞台に、銀幕の申し子と言われる映画プロデューサーのポンポさんのもとにいたアシスタントプロデューサーである主人公ジーンが、映画に対する思いと、編集の才能を買われたことで監督に抜擢され、一つの映画を作り上げる物語。

映画制作モノで、撮影部分にスポットを当てたものは多くありますが、本作の見せ場は撮影後の「編集」のシーン。暗い部屋でPCで黙々と作業をする、一見地味なシーンを、主人公ジーンの作り手としての狂気とまで言えるような映画への情熱を、アクションたっぷりにみせてくれるのが素晴らしかったです。「映画は90分であるべき」「映画は編集が全て」と言い切ってしまう、映画へのこだわりがあらわれていて最高です。もちろん、中盤までの撮影シーンも楽しく、舞台裏ものとして作り上げることの楽しさが窺えるシーンでした。

そして何より本作は、「映画は90分」という名のもと、鬼のようなテンポの良さと、見せるところはたっぷり見せるという、危ういバランスの良さが印象的でした。作中でジーンがやっていたことを、そのまま作品となり観ている側にも体験させてもらいました。辛いけど楽しい、愛しいけど切り捨てることもある、そんな思いを、ポンポさんという、とてもファンタスティックな存在がつないでいるのが面白いです。(メイン登場人物はデフォルメされて、一般社会の人たちはリアル風に描かれているのも効果的ですね。)

映画作りの楽しさと狂気、二つが同居した、特に映画好き・ものづくり好きに刺さる作品でした。


ポンポさんが来ったぞー!!
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