踝踵

映画大好きポンポさんの踝踵のネタバレレビュー・内容・結末

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

アニメならではのデフォルメの良さを活かした部分と活かせてない部分両方あって勿体ないという印象だった。

うまく活かしている具体例でいうと、ポンポさんやジーンなどの主要キャラはアニメの作画をうまく使ってキャラを「記号化」することに成功している。例えば、現実世界のプロデューサーはただのオッサンかもしれない。しかし、ポンポさんのような元気ハツラツな女の子に描くことで「魅力的なプロデューサーとは何か」という問いに「分け隔て無く明るく接する少女のような人」という風に明快に答えていて、作り手の言わんとしている事が分かりやすいと思った。
その成功がこの映画が言いたいであろう「映画とは何か、映画で感動することは何か」をかいつまんで伝えることを手助けしている。ただ、記号化するレベルでデフォルメをしているのは主要キャラのみで、普通にオッサンとして作画されているキャラも同時に存在しているので個人的に「この人は何の記号??」とデフォルメのルールが分からず混乱する。

他にも飛び抜けて良いのは映画に携わる人の視点が多様な事と、「作品に感情移入する」心理を明快に描いた事。多少物語に無理があってもアニメだからなんとか保てている…気がする。

良い部分が多いが物足りない部分も同時に多かった気がする。「ものづくりとは何か」に対する深堀りがまだ浅いのでいまいち説得力が足りず感情移入しきれない。そこは外してはいけない気がする。時々「え、本当にこのシーンで正解なの??」と疑問に思う場面ががあって腑に落ちなかった…

また、ジーンがMeisterを最初に編集するまで「何を描きたいの?」とピンと来ないシーンが長めに続くからちょっと苦痛。多分、これは「作ることの苦しさ」を途中まで描いていないので「ただのシンデレラストーリー?」と僕が迷ってしまったからだと思う
あと日本のアニメ特有の必要以上のお色気シーンと過剰な感情表現、献身的すぎる女性キャラなど、「これいる??」みたいな描写が多くて苦痛。
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