おばけシューター

映画大好きポンポさんのおばけシューターのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
4.0
ポンポ!(挨拶)
じっとりとレビュー書いてたら話題が過ぎ去ってしまうパターンヌ。さすがFilmarksといったところでしょうか、映画大好きフォロワーさんのレビューのテンションが全体的に高く、文字数も多めの傾向があって、読んでて楽しいです。ポンポポ!(御礼)

映画をテーマにした映画は数あれど、制作そのものにフォーカスした作品、特にアニメって思いつかない。例えばアルゴ、女優霊、カメラを止めるな!、桐島部活やめるってよ、スーパー8、マジックアワー、トロピックサンダー(もういいか)なんかは撮影現場が舞台ですが物語の必要性からそうなってるだけで、映画製作そのものを描くためでは無いでしょう。
よって本作は純粋に映画ファンのための作品であり、やっとこういうのきた!というような新鮮さを感じた!

多くの人が言及している通り、例えば作中で「映画2時間は長い。言いたいことだけを言って90分に纏めるべき」と話した内容を、実際に本作に適用することで話の説得力を増し、効果も体感できるという構造がうまくできており、劇中劇を観ているような不思議な感覚。
編集シークエンスは具体的な例と説明を示して編集という一般的にピンとこない仕事の重要さを端的に示し、他のシークエンスでも場面の移り変わりに多様なトランジションを使用することでいちいち編集効果を意識させ、本当に、ほんとうに!無駄がないっ
スケジューリングや出資の話が含まれることも手伝って、現場の実在感、仕事についての強いリアリティを感じる…

が!!
それを踏まえると、明らかにひとつ浮いた要素がある。

そう、我らがポンポさんの存在です。
映画プロデューサーなのに見た目は子どもで、だが既にスキルあり、コネもあり信頼もされている。周りと比較してもめちゃくちゃ”アニメナイズ”された姿と動きで、ついでに名前がPomponette(小さいポンポン)。とてもじゃないが、リアリティのあるキャラクターではない。
まぁこれらは置いといても、ポンポさん自身が言ってた助手にジーンを選んだ理由と、本人の性格は不自然なほどの乖離があるのは見逃せないでしょう。
もっとも異常なのは、映画大好きというタイトルでありながら映画好きではない事!(原作には好きな映画が載ってましたが)メタ的な立ち位置から嘘をつく理由とは?

これはきっと、彼女の存在こそ虚構だというメッセージなのではないでしょうか?幻覚という意味では無く、実際の映画づくりに、彼女のようなワンダーウーマンはいないという事。
ずっとクマを作ってるジーンらに対し、作中ポンポさんが辛そうにしているカットはおおよそ存在しません。仕事はしてますが特別努力してる様子も感じず、いつも楽しそうでした。
そんな人物は存在しない。映画業界の人たちは、みんなジーンやナタリーのように、涙目でふらふらになりながら映画を作ってるんだという叫びを、彼女の瞳の奥から、確かに感じたのです。

オニャンコポン!(おわり)