創作の仕事をしている方は、必見の神映画だ。
映画制作を軸としながら、主人公の自己実現を描いている。
でも、映画オタクじゃない人も楽しめると思う。夢を追いかける人、現実に悩んでいる人は、騙されたと思って見てはいかがだろうか。
創作ひいては人生に役立つ言葉の応酬が凄まじい。それが全く臭くないのは、この映画の女神的キャラ「ポンポさん」のおかげだろう。ちなみに、ポンポさんは少女なのに映画プロデューサーという非現実的なキャラだ。
今作はポンポさんのおかげで、映画全体のリアリティレベルが下がり、自然に物語に入っていくことができた。
映画の後半は、編集作業シーンだ。
映画は編集で決まる。撮った映像(素材)をどう編集(調理)するかにかかっている。切って、貼って、選択の連続。それは、まさに人生と一緒。
主人公ジーンは葛藤する。編集しても、どうしても時間内に収まらない。どこも大事なシーンに思えてきて、切り取ることができない。人生の選択ができない。自分の人生(編集作業)には、たくさんの人生がかかっている。切れない。動けない。だが、ジーンは気づく。覚醒する。切って、切って、切りまくる。感覚に勢いを乗せて、狂気と愛を身にまとう。
○好きなシーン
主人公が追加撮影をお願いするとき、「素直だと思ったのに」と言いながら、ニヤニヤするポンポさん。
・両者に映画の愛を感じる
・自己優先パターンは美しい
・人に頼られるのは嬉しい→承認欲求
○発見
幸福は想像の敵
あて書き最強
極論、女優を魅力的に撮れればオッケー
長い娯楽は、今の時代ふさわしくない
カロリー高いものじゃなくて、伝えたいメッセージをまとめる
死んだ目をしているから採用した
死んだ目⇄キラキラした目
幸福は想像の敵
会話を切れ、交流を切れ、家族を切れ→映画のため
たった一人のために映画を作る→自分orポンポさん
○好きなセリフ
・「ポンポさん、こだわらない女」
・「まあ、極論映画って女優を魅力的に撮れればそれでオッケーでしょ」
・「軸さえ決まったらポンポさんなんでも面白くできちゃうのよ」
・「泣かせ映画で感動させるよりおバカ映画で感動させるほうがカッコいいでしょ」
・「映画の撮り方に正解なんぞないがただ現場は生き物じゃからな。役者の息吹、映ろう景色、一瞬のきらめきを逃さぬよう、画に対する感覚を鋭く磨いておいた方がいいな」
・「映画のテクニックの一つだ。あえて結果を見せずに、次のシーンを想像させる」
・「目に光がなかったからよ。他の若いのはね、光り輝く青春を謳歌してきましたっていう目をしてたのよ。だけど、満たされた人間っていうのはものの考え方が浅くなるの。幸福は想像の敵。彼らにクリエーターとしての資格なし。そういう連中に比べて、ジーンくんは社会に居場所がない追い詰められた目をしてるの。現実から逃げた人間は心の中に自分だけの世界を作る。社会と切り離された精神世界の広さ、深さこそがクリエーターとしての潜在能力の大きさなの。だから私はその社会不適合な目をした君に、期待してるのよ」
・「私も何に惹かれたかわからないけど、あの子にピンがきちゃったんだもん。でも、まっ、自分の直感を信じないで、何を頼りに映画を撮ればいいのよってね」
・長い映画はダメですか?
「90分以下のわかりやすい作品は、砂漠のオアシス。二時間以上の集中を観客に求めるのは現代の娯楽として優しくないわ。製作者はしっかり取捨選択して、出来るかぎり簡潔に伝えたいメッセージを表現すべきよ。ブヨブヨした脂肪だらけの映画は美しくないでしょ」
・役者に書かされる、そうゆうことってあるんですか?
「その人を見た瞬間に、物語が頭に溢れてくることが稀にある。そんなときは間違いなくいい作品に仕上がるわね」
・「女優は笑顔が一番。夢を捨てるためにここに来たんじゃない、夢を叶えるためにここにきたんだもん」
・「世間ウケを狙ったら八方美人なぼやけた映画になっちゃうでしょ。それよりも誰か一人、その映画を一番見てもらいたい誰かのためにつくればいいんだ。そうしたらフォーカスが絞られて作品の輪郭がグッと立つ」
・「現場の思いと編集室での客観性、その狭間の中でジーンくんはてきかくなつなぎを見つけることができるかしら?」
・「では、君はなぜ映画が好きになったんだね? 君は映画の中に自分を見つけたんじゃないかね? 物語を通して、共感や夢、憧れ、現実を見た。さて、ジーンくん、君の映画に、君はいるかね。それが見つかったら、あとは、きみのアリアを作品にこめればいい」
・「この映画はボクのためのもの、いやボクだけじゃない」
・「何かを残すことは、それ以外を犠牲にすることなんだって」
・「アリアとは独唱曲、感情を伝えるのがアリア」
・「君は、誰に、どんな感情を映画を通して伝えたいのかい?」
・「生きることは選択の連続だ。一つを選択したらそれ以外は切らなくちゃいけない。だから会話を切れ。友情を切れ。家族を切れ。生活を切れ。切れ、切れ、切れ、切れ。これが僕のアリアだ」