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悪の絵のlpのレビュー・感想・評価

悪の絵(2020年製作の映画)
4.3
東京国際映画祭にて鑑賞。

ワールドフォーカス部門で開催されている台湾映画の特集上映「台湾電影ルネッサンス2020」。今回はこの特集に4本の台湾映画が出品されているのだけど、その中で一際気になったのが今作。
昨今の日本でも時折話題になる「出演者の不祥事と、出演作の公開中止」を巡る議論にも通じそうな題材とあって、期待して鑑賞。そしてこれが予想以上に面白い傑作だった!

服役中の凶悪犯(リバー・ホァンの演技が素晴らしい)が描いた絵に惹かれた画家(主人公)が、その絵を世に広めんと展覧会を企画するが、世間からのバッシングに見舞われる・・・というのが導入部のサスペンスフルなドラマ。

映画はここから「作品の評価と、作家の人間性の評価の不一致」を巡る物語を展開する。
今作の巧さであり面白さの源泉となるのが、主人公の画家は最初こそ「凶悪犯の絵」に対して、第三者的な立場でいられるのだけれども、自身も「表現者」であるがゆえに、「作品の評価と作者の人間性の評価」を巡る問題にやがて当事者として巻き込まれ、ドラマを加速させる。このドライブは見事だ。
また、作品が持ち得る暴力性(作品の存在自体が、意図せず誰かを傷付けてしまう)にも目配せをしており、「芸術」を巡る物語として練り上げられている。さらには、「主人公自身」や「凶悪犯の絵」が最後に行き着く落としどころも合点がいくもので、ドラマとしても面白い。
今作の脚本は本当に素晴らしい!

映画祭期間中にまだ2回ほど上映の機会があるので、気になる方はぜひ!オススメ!
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