シルク

トゥルーノースのシルクのレビュー・感想・評価

トゥルーノース(2020年製作の映画)
4.4

在日コリアン4世の監督さんの作品。
もう4世、五世もいるとかで驚きます。

その在日コリアンの家族がその昔、日本での貧困の中、同胞の帰国事業で社会主義、共産主義社会の平等と平和なる《地上の楽園》に帰ろう!
祖国の温かい懐に帰ろう!
そんなようなスローガンの下、夢と希望を抱き祖国に渡るが…
理想と現実はあまりにもかけ離れていた。

センシティブでタブーな内容の作品。
生まれ育った日本で、ある日突然親からお前は在日なんだと告げられ、その瞬間から今迄見えていた世界がガラリと変わり経験した事ないハンディーというものを背負う。
監督さんがその一人。

38度戦、南北に分断された朝鮮半島の未来はどうなるのか。
平和的統一と南北双方で謳っているが、果たして描く祖国の行く末は同じなのだろうか。

北の政治犯の強制収容所のお話。
よく映画作品で過酷な世界の収容所を目にするが、暴行、レイプ、飢餓、拷問など
これらは国が違えど何処も同じなんだと思った。
ただ、この作品では明らかに言いようよの無い罪での投獄。
それも何の罪もない小さな子供達までもが政治犯の家族と言う事だけで収容されてしまう。
あまりにも悲しすぎる。

そしてその子供の目線からのストーリー展開。
アニメで良かった。
こんな過酷な日々の中でも、子供らしい健気な思考、ユニークな面も垣間見えて、
《それでも生きていく》
希望が見えてきそうな予感がして応援したくなる。

そして、ラストシーンはやはり涙無く観れませんでした。

センシティブなストーリーだけど無関心ではいられないすぐお隣での現実。
監督さんの強い意志と柔軟さと願いと…
色々考えさせられる作品でした。
シルク

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