Kapporiya49

タイムのKapporiya49のレビュー・感想・評価

タイム(2020年製作の映画)
2.0
アカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされたと知った時点で以前から観ようと思っていた。今回『ビールストリートの恋人たち』とニコイチのつもりで観てはみたのだが、モヤモヤする内容だった。

ネタバレどうこうという内容でもないので、本作で描かれた事実を書き連ねてみる。
1997年、商売が行き詰まっていたリチャードソン夫妻と夫か妻か忘れたが彼らの弟が、武装銀行強盗を犯して逮捕される。
夫は60年、妻は2年の懲役。弟は本作に登場しなかったと記憶している。
夫婦には既に子がおり、逮捕時点で双子を身籠っていた。
妻は釈放されてから自身と子供たちの成長をビデオを撮りはじめ、同時に夫の釈放を訴える活動をはじめ、20年後夫は知事の恩赦で釈放される。

もちろん、刑務所の産業化問題が主題であることは本作を観て分かる(刑務所の予算がオーバーしそうになったら何人か釈放されるという会話がある)し、黒人を長期の懲役刑でぶちこみ、彼らを道路補修などの公共工事で働かせる事実上の奴隷労働を強いるシステムが未だに続いていることも、他の作品や著書から知っている。

しかし、モヤモヤして観終えて色々ググッてみたが、情報を見つけられなかったことが幾つかある。

武装銀行強盗がどれほどの犯罪だったのか?殺人や傷害の有無や被害者への対応、警察への抵抗具合も不明。

本作ではなぜ共犯者の弟に言及されないのか?家族の絆の美しさを強調している内容だけに、見進めるほどに違和感も高まる。

更に、妻のシビルが何を仕事にして生計を立てていたのか?
元々生活に困って強盗を犯し、夫の不在どころか彼の釈放のための活動もしていて家計はたいへんなはずだが、現在も過去も割と良い身なりに良い居住環境に見えた。

つまり、本作は内容を信じるには余りにも情報不足、という感想にしかならない。

しかし、育った息子たちは本当に立派な青年たちに見えた(2回もワイシャツにアイロンをかけるシーンがあった笑)し、シビルさんはじめ周囲の親族はよく子育てを頑張ったんだなとは感じられた。
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