benno

アメリカの友人のbennoのレビュー・感想・評価

アメリカの友人(1977年製作の映画)
4.0
パトリシア・ハイスミスの小説『トム・リプリー』が原作、その第3作目。

前作2作、『太陽がいっぱい』と『リプリー』での殺人は衝動的で、仕方なくというイメージでしたが、本作は、最初から計画的な殺人に加担します。

ヨーロッパで贋作を売り捌くアメリカ人、トム・リプリーがある日オークションに絵画を出品したところ、ハンブルグの額縁職人ヨナタンに見抜かれてしまいます。リプリーはヨナタンが白血病の治療に莫大なお金が必要なことを知り、殺し屋ミノを通して殺人に加担するよう仕組みます…

リプリーは客観的に観るとかなり酷いことをやっているのですが、でも何故か憎めません。ヨナタンを殺人に巻き込みますが、その後、命懸けで彼を助けようとします。

「君から欲しいものは何もない、友情は無理だ」という台詞を残し、リプリー第1・2作から一貫して、同性愛の雰囲気を醸し出します。

また、本作はキャストが素晴らしくとても稀有な作品です。ニコライ・レイ、サミュエル・フラー、ダニエル・シュミット、ジャン・ユスターシュ…錚々たる映画監督が役者として出演しています。
主人公リプリーには、セクシーの塊のようなデニス・ホッパー、ヨナタンには、これまたセクシーで渋いブルーノ・ガンツ…

ヴェンダースの映像は言うまでもなく、とくにラスト、海辺のシーン…死へ向かって走る赤いビートルが切なくてとても美しいです。
benno

benno