TaiRa

アメリカの友人のTaiRaのレビュー・感想・評価

アメリカの友人(1977年製作の映画)
5.0
ヴェンダースが作風変えてジャンル映画に挑んだら最高だったという。

アラン・ドロンの印象付いちゃったトム・リプリーをデニス・ホッパーがやってる時点で、この映画強いなって。強キャラ映画監督がいっぱい出てる変な映画。主人公はブルーノ・ガンツで、死期を悟って闇の仕事に手出しちゃう普通の男として完璧な佇まい。追い詰められていくまでの焦燥感も良く、担当医に話を聞きに行く道中を一連で見せるのも良い。地下鉄での最初の殺しは『フレンチ・コネクション』の尾行と『ゴッドファーザー』のマイケル初めての暗殺を掛け合せたような贅沢さ。殺しまでの焦らし、からの盛り上がりが凄いし、前振りで言及された注意点を全部忘れて逃げるガンツが可笑しい。悲惨さと滑稽さのバランス。人を一人殺す事の重大さ、葛藤をしっかり描く。真っ当な事だが今では珍しい。第二の暗殺である列車でのドタバタ感もブラック・コメディ的。この時のホッパーのサラサラヘアーも良い。永野みたいな髪型。殺しの対象が一体どこの誰なのか、てんで分からないのも不気味で好き。クライマックスに向けてのパラノイアックな感覚も好き。本当の殺し合いなのに、いい大人がごっこ遊びしてる感すらある。そこにカミさん来て遊びが終わる感じ。救急車爆発におけるホッパーのテンションといい画ヅラといい最高。
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