ゆう

スウィート・シングのゆうのレビュー・感想・評価

スウィート・シング(2020年製作の映画)
2.8
モノクロ映画久しぶりに観たな。

子供のやる事と目を瞑れるか瞑れないかの絶妙な犯罪具合が引っ掛かりますが、ちょっぴりダークなジュブナイル物として楽しめました。

基本モノクロシーンの中で、海で母親達が酒を飲み子供がひたすら酒を作り彼女らに運ぶという、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』みたいな馬鹿っぽいシーンだけが、突如としてカラーになる。いけすかない大人のTHE楽しみって感じだけど、子供達が家宅侵入して、馬鹿騒ぎしてるシーンの方がモノクロでありながら、絵に生命が宿っていたし、彩りがあるように感じられるのが不思議だった。

アル中の父親と、男作って女を捨て切る事が出来ず家を出た母親という、恵まれた家庭環境にいるとは言えない姉弟だが、彼女らには愛があり、とにかく心が自由だった。
学校に通わず、車盗んで馬鹿やって泳いで歌ってというひと時の自由さは、コロナ禍の今だからこそ、余計に眩しく映りました。

親の不仲だったり、金銭的制限や行動制限、それこそ友達の死だったり、子供にはどうする事もできない理不尽さに合いながらも、力強く生きていく様は、コロナという理不尽さにさらされた大人にも訴えるものがあると感じます。
ゆう

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