千年女優

アイム・ユア・ウーマンの千年女優のレビュー・感想・評価

アイム・ユア・ウーマン(2020年製作の映画)
3.5
1970年代。夫が泥棒だと知りながらも裕福な生活に満足する専業主婦で、彼が連れて来た見知らぬ赤ん坊をも受け入れるジーン。何不自由ない生活を送っていた彼女が夫が組織を裏切って失踪したために追われる身となり、夫の相棒であるカルの手引きで始めた逃亡生活の中で徐々に他人に依存しきりだった行動を変える様を描く犯罪映画です。

脚本家の父と女優の母の芸能一家に生まれた女性監督でディズニーで制作した配信作品『スターガール』シリーズも好評なジュリア・ハートが脚本から手掛けたAmazon Prime配信作品で、同じくAmazon配信のテレビドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』でブレイクしたレイチェル・ブロズナハンを盛り立てて批評家からの好評を得ました。

犯罪映画ではお決まりの「逃走生活」を描く作品ですが、ウーマン・リブも記憶に新しい1970年代を舞台に、女性監督らしい細やかな演出でテーマを明確にしています。犯罪映画としてのスリルやサスペンスは控えめですが、適切なキャラクターの配置で血筋や人種、そして性別を超えた「個人」へのささやかでも確かな一歩を描いた一作です。
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