てっぺい

アムステルダムのてっぺいのレビュー・感想・評価

アムステルダム(2022年製作の映画)
3.5
【Tボーンステーキ映画】
今の世界情勢に響く重い史実を伝える映画の骨子。でも全編男女3人のアツい友情で、クス笑いもあり見飽きない。映画の骨を豪華キャストと友情という厚みのお肉で包んだ、まるでTボーンステーキのような映画。

◆トリビア
○クリスチャン・ベールは、役作りで45キロの増量や歯を抜くなど、“役作りの鬼”として知られていて、本作では戦後の体を表現するため、コルセットで身長を5センチ縮めた。(https://m.crank-in.net/news/116519/1)
〇ミルトンを演じたクリス・ロックは、第94回アカデミー賞授賞式でウィル・スミスからビンタを張られたあの人。来年のアカデミー賞の司会をオファーされたが、断った。(https://eiga.com/news/20220902/7/)
〇テイラー・スウィフトの映画出演は、『キャッツ』(19)以来、約3年ぶり。キャラクターを作りあげるために衣装選びにも参加した。(https://www.20thcenturystudios.jp/amsterdam/20221020_01)
〇キャストが豪華すぎて、撮影中どのキャストも控室に戻らず、他のキャストの演技を見ていた。(https://realsound.jp/movie/2022/10/post-1160545.html)
〇本作は、クリスチャン・ベールの祖母の実体験が元ネタ。ベールは製作にも入り、監督と打合せながら撮影を進めた。(https://eiga.com/news/20221018/4/)
〇ヴァレリーのアート作品の中に、マーゴット・ロビー自身による作品がある。(https://www.cinemacafe.net/article/2022/10/17/81409.html)
〇マーゴット・ロビーは、次回作に実写版の「バービー」役を控えている。(https://www.cinemacafe.net/article/2022/10/01/81148.html)
〇ロバート・デ・ニーロは、『世界にひとつのプレイブック』から『ジョイ』まで、3作連続でラッセル監督作品に出演し、本作が4度目のタッグ。食通としても知られ、日本料理店NOBUを日本人と共同経営している。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ロバート・デ・ニーロ)
〇本作は、アカデミー賞ノミネーション数が『ザ・ファイター』『世界にひとつのプレイブック』『アメリカン・ハッスル』の3作品で25部門に及ぶラッセル監督による7年ぶりの新作。5年かけて製作された。(https://www.cinematoday.jp/page/A0008552)
○ ラッセル監督はクリスチャン・ベールとプロットを5年に渡り構築。後半3年間はマーゴット・ロビーも加わった。(https://eiga.com/movie/97820/critic/)
○ ロバート・デ・ニーロ演じるディレンベックは、第一次大戦で軍最高位の名誉勲章を2度も授与された伝説的軍人スメドレー・バトラーがモデル。沖縄にあるキャンプ・バトラーはその名に因む。(https://eiga.com/movie/97820/critic/)
〇サウンドトラックには、劇中で3人が歌った「Le Soleil Rouge」も収録されている。(https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/117791/2)

◆概要
【監督】
「世界にひとつのプレイブック」デビッド・O・ラッセル
【出演】
「アメリカン・ハッスル」クリスチャン・ベール
「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」マーゴット・ロビー
「TENET テネット」ジョン・デビッド・ワシントン(デンゼル・ワシントンの長男)
「ボヘミアン・ラプソディ」ラミ・マレック
「アイリッシュマン」ロバート・デ・ニーロ
「ラストナイト・イン・ソーホー」アニヤ・テイラー=ジョイ
「アバター」 ゾーイ・サルダナ
「オースティン・パワーズ」マイク・マイヤーズ
「ブレット・トレイン」マイケル・シャノン
テイラー・スウィフト
【撮影監督】
エマニュエル・ルベツキ(3年連続アカデミー賞撮影賞受賞)
【公開】2022年10月28日

◆ストーリー
1930年代のニューヨーク。かつて第1次世界大戦の戦地で知り合い、終戦後にオランダのアムステルダムで一緒の時間を過ごし、親友となったバート、ハロルド、ヴァレリー。3人は「何があってもお互いを守り合う」と誓い合い、固い友情で結ばれていた。ある時、バートとハロルドがひょんなことから殺人事件に巻き込まれ、容疑者にされてしまう。濡れ衣を着せられた彼らは、疑いを晴らすためにある作戦を思いつくが、次第に自分たちが世界に渦巻く巨大な陰謀の中心にいることに気づく。


◆以下ネタバレ


◆ほとんど真実
冒頭クレジットされた“ほとんどが真実”。どこまでが真実かは分からないけど、画面がフリーズして名前がクレジットされた、アメリカ政府の諜報員二人と“五人委員会”の三人は、そのクレジットこそが事実の印。エンドロールでリンクしたロバートデニーロとスメドレー・バトラー少将の映像も、そのものが史実の印。つまり本作は、ファシズムを企て実行しようとした巨悪から、世界を守ったバトラー少将をたたえる事を映画の骨子としている訳で、“歴史は繰り返す”、まさに世界情勢に暗雲が立ち込め始めている今、この映画の存在意義は重い。

◆友情
ただし映画の全編で描かれるのはバート、ハロルド、ヴァレリー3人の友情。アムステルダムでの3人の笑顔がとても素敵だったし、一人欠けると歯車が合わなくなり、3人に戻ると陰謀を解決に向かわせる最強のトライアングルへ。(その意味でラストはバートも二人を追う事を予測したけど、いつかまたあの3人は世界のどこかで合流するはず笑)この映画は、史実という映画の骨を、3人の友情という厚みのお肉が覆う、上質のTボーンステーキのような作品だった。

◆豪華
あの映画で見たあの人が!な、キャストの豪華さを楽しめる事は言わずもがな。アップの画も多く、そのあたりを意識した画作りも。こと、ラミ・マレックとアニャのどこか胡散臭いキャラもぴったりハマっていたし、テイラー・スウィフトがまさか轢かれるとは。タッグが4度目のもはやラッセル組なロバートデニーロの演説のリンク具合もすごかった。戦友会でのマーゴットロビーの煌びやかな衣装も素敵だったし(ただし男としてはあれを着られると映画が入ってこない笑)、何よりクリスチャンベールのあの目の演技。「マネー・ショート 華麗なる大逆転」では義眼をCGではなく左右の目をずらして動かしたという(https://otocoto.jp/column/vice/3/)のだから、本作であれがCGでない可能性あり。CGだとしてもどうやって瞬きもなしに自分の目をコンコンと触る事ができるのか…もしご存知の方がいたらぜひ教えてください。

◆関連作品
〇「世界にひとつのプレイブック」('13)
ラッセル監督の代表作。第85回アカデミー賞で作品賞を含む8部門にノミネート。主演2人のイカれたやり取りが最高です。プライムビデオレンタル可。
〇「バイス」('19)
クリスチャン・ベールが「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれたディック・チェイニーを演じる。老年期の特殊メイクが素晴らしい。プライムビデオ配信中。

◆評価(2022年10月28日現在)
Filmarks:★×3.6
Yahoo!映画:★×3.6
映画.com:★×3.4

引用元
https://eiga.com/amp/movie/97820/
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