Fumi

アムステルダムのFumiのレビュー・感想・評価

アムステルダム(2022年製作の映画)
4.1
評判が二分してるようだが私は結構楽しめたし好きだった。
こういう地味なようできちんとした脚本と、過度にやりすぎない演出の丁寧な人間ドラマはもっと評価されるべきだと勝手ながら感じる。実話ベースなので複雑にする必要はないし、逆に言えば実話ベースでよく面白く撮ったなと。そこは監督の手腕かと思う。

自分が好きだった理由は明確でまずデビッドOラッセルが好きだから…というひいき目。笑

もう一つは難しすぎることもないストーリーと一人一人キャラのたった(だからと言ってわざとらしくもない)登場人物たちをこれだけの素晴らしい役者で演じているので作劇的面白さが間違いなくあったというところ。

なんというかとても質のいい2時間ぐらいの演劇を観たような感覚がある。

実話が元になっているとはいえ人間ドラマパートはおそらく多くが創作だと思うが、適度なコメディ要素と謎解き要素とでなかなか上手く纏まっていたと感じる。
やはりそこもデビッドOラッセル的。

役者は全て良かったが個人的には女優デビューのテイラースウィフトの存在感も良かったし、マーゴットロビーはかなり光っていた。可愛い。あと何気にクリスロックの役どころも効いてて良かったな。笑

観る前は駄作かなーと思ってたけど全然そんなことはなく観て良かった。評判悪そうだったのでかなり構えてたけど、むしろ(口が悪くなるが)たまにある変な陳腐なドラマの焼き回しみたいな邦画とか観るぐらいならこっち見たい方がいいかな。

自分は期待を下げてみるぐらいがちょうどいいのかもしれないと言うのもあるが。

ただこれ、ジャンル分けできるような作品を作る監督ではないからこそ、サスペンスでもないし戦争映画でもなくやっぱり焦点にあたっているのは人間ドラマ。自分はそこらへんを想定していたので思ったより楽しめたのだが起伏も少なくセリフが多いので面食らった人がいてもおかしくないかも。私はそういう作家性が嫌いではないので十分楽しめたかな。全く冗長的とも思わなかったし、セリフが長いのはむしろこの監督らしさだ。


あえて言うなら忘れられないあのシーンみたいなものはないので、映像的な快楽や音楽などは印象に残らず。ある意味で映画的な作品というよりは、かなり役者に焦点が当たっていた作品だったと感じる。
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