Yoshishun

めぐみへの誓いのYoshishunのレビュー・感想・評価

めぐみへの誓い(2020年製作の映画)
3.0
北朝鮮拉致被害者の横田めぐみと、彼女の帰還を切に願う両親の40年以上にも及ぶ実話を映画化した作品。有名俳優や監督等はスルーしてきたであろう、かなりシビアな題材に果敢に挑んだ制作陣の心意気には頭が上がらない。実際の事件を基にしながら被害者遺族への配慮も欠片もない『コンクリート』とは雲泥の差であることは間違いない。

さて、肝心の内容は、やはり事件の全容を知っていると、かなり嘘っぽく映るというか、まるで舞台劇のような大袈裟なリアクションが目立つため、観ていて恥ずかしくなる場面も多い。内容が内容なので酷評する程ではないが、世界仰天ニュースにおける再現ドラマの領域を出ていないように思える。

しかし、生涯再会することの叶わなった親子を夢を通じて再会させるシーンこそ、フィクションである映画だからこそ出来る演出であったことも確か。

40年以上経った今でも真実は闇の中であり、北朝鮮拉致問題を身近な国際問題として一気に浸透させた横田めぐみ拉致の全容を再現させた本作は、内容に難はあれど、映画という媒体を活用する姿勢も見られるため一概に駄作と決めつけるには勿体無い作品である。
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